裏階段 三谷編 8


(8)
痛いと叫ぶもう一人の少年がいる。
赤みがかった柔らかくウェーブがついた髪で、黒と言うより茶に近い瞳の色。
透き通るような白い肌と痩せた体つきで、喘ぐように呼吸をし必死に自分の体の
上にのしかかっている者に訴えている。
『痛いよ…!痛いよもうやめて…!!』

「痛いよ…」
現実のほうの少年の発した声で我に返った。
少年の口調は切羽詰まったというより手順を踏まない事をたしなめようとするものだった。
先端の一番太い部分だけを飲み込ませただけの状態は彼に中途半端な苦痛を与えていた。
こちらが僅かに力を緩めれば若々しい弾力で押し出されそうである。
痩せた体に比例して彼の入り口もその奥の通路も相当狭い。
今まで何人の男がその無理を突き通す事に価値を見い出して楽しんだことだろう。
こちらにはその余裕はあまりなかった。
彼を欲した理由が見えて来たからだった。
それは彼を見かけた場所のせいでもあった。その時の彼の表情のせいでもあった。
一度彼から退いた。ズルリと異物を吐き出して一瞬ホッとしたように彼の体から緊張が解けた。
その安堵感を砕くようにもう一度強い力で押し入った。
「あああっ!」
体を捻って痛みから逃れようとするのを腰の部分を手で押さえ留める。
赤く腫れ上がった乳首を見せつけるように彼の胸部が反り返った。



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