浴衣 8


(8)
ああ、もう取り返しがつかない……と、凪いだ気持ちで僕は思った。
僕も進藤も、言葉にしてしまった。
認めてしまった。
お互いの気持ちを―――――。

取り返しがつかないと思う一方で、歓喜が血管を流れ、体中をめぐる。
徐々に火照っていく体に、文字通り水が刺したのはその時だった。
パシャっというどこか可愛いらしい破裂音がした。と、同時に右足に水がかかった。
「ヨーヨー……」
進藤が呟いた。
ヨーヨーだった赤い風船が、地面に無残な形となって落ちていた。
「割れたんだ……」
「塔矢の足、濡れてる」
進藤は、口のなかで呟くと、僕の右足から下駄を奪う。そして、しゃがんでいる自分の膝に僕の右足をおくと、乾いているシャツの裾を手にした。
拭いてくれようとしていることがわかった瞬間、すまなく思えて足を取り返そうとした。が、進藤はそれを許してくれなかった。
彼が両手で僕の足を挟んだ。
濡れた足に、熱く湿った柔らかい感触が走った。
「あ……しん……!」
ぴちゃりと音がした。
肌に残った水を求め、進藤の舌が動く。
進藤に掲げられ、すべる水滴を進藤の唇が捕らえる。



分岐点  「このまま」  「分岐 青



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