誕生歌はジャイアン・リサイタルで(仮題) 8
(8)
碁会所は騒然となった。
「きゅ、救急車…誰か119番に電話を…」
携帯電話を取り出す広瀬をアキラが制した。
「待ってください広瀬さん!進藤がこうなったのはボクの責任…僕が助けます!」
「アキラ…立派になったな、やってみなさい」
元名人は満足そうに頷く。そしてアキラは、チアノーゼを起こしているヒカルの顔に自らの顔を近付け…。
「待て待て待てアキラ君!君は何をするつもりなんだ…」
慌てて止めに入る緒方に、アキラは真面目な顔で答える。
「眠り姫も白雪姫も、王子様のキスで起きるんですよ緒方さん!この囲碁界のプリンスのボクの口付けなら効果覿面に違い有りません!」
「…い、いや…この場合そうじゃないだろう…」
「じゃあいきなり挿入せよとおっしゃるんですか、緒方さんは!」
「何言ってるんだ君は!」
乱闘が始まりそうな雰囲気の中、元名人がアキラに大きな機械を差し出した。
「これを使いなさい、アキラ…」
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