ピングー 8


(8)
自分の手をとんでもない場所に持っていかれて、ヒカルがあらためて抵抗する。
(なんで人前で、こんな自分でもいじったことのないような場所を、触れなきゃなら
 ないんだよ!)
だが、ヒカルの手はがっちりと指先まで、緒方の大きな手に握り込まれていて、振りほどく
ことが出来なかった。
緒方が望むままに、強引に手が動かされて、自分の指先が肛門に触れ、ジェルを塗りたくる
感触を、ヒカルは、どうしょうもない情けなさと共に感じていた。
ニュルリとした柔らかな触覚を、肛門の周りに感じる。
いやがって指をまげて抵抗したが、その手と指に添えられた緒方の腕の力には容赦がなく、
ただヒカルは自分の指がその場所に、ニチュニチュと透明な薬を塗り込む淫猥な音を聞いて
いることしか出来なかった。
ヒカルの手を逃げられないように押さえ込んだまま、緒方の硬い指の先が、ジェルのすべりに
任せて、温かい後腔の中にわずかにめり込むように沈んだ。
気持ち悪さに、ヒカルの口から思わず空気を飲み込むような悲鳴があがる。
「やめて! 先生っ!」
だが、緒方の指は堅いフタをこじ開けるようにして、ますます奥に進入してくる。
「やめてよ……」
ヒカルはあまりの恥ずかしさに身を縮めた。
その長い指の中ほどまで入れて中を散々に掻き回したあと、男はゆっくりとその指を
引き抜き、今度はヒカル自身の指に自分の指をそえるようにして、その羞恥にうごめく
入り口に押し当てた。
さすがに、緒方が何をしようとしているか分かったヒカルは、渾身の力をこめて、あいて
いる方の手で男の肩を突き飛ばそうと試みたが、まだ未成熟な子供である自分の非力さを
思い知らされるだけに終わった。
そのまま自分の指とヒカルの指を、緒方は強引に体内に押し込もうとする。
しかし、さすがに二本の指を一度にでは、さっきの時のように楽にはいかず、焦れた彼は
もう一度、ジェルのチューブに手を伸ばすと実に素早く、ヒカルの下に回された指先に厚く
ぬりたくった。
その効果もあってか。
今度はふたりの指は、じりじりとではあるが、中に進入した。



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