少年サイダー、夏カシム 8


(8)
すぐさまヒカルのもとへ戻ると着替えを始めた。汗ではりついた服はなかなか脱がすことができず、和谷は苦労した。
やっとのことで脱がせると、色白で少しやせ気味のヒカルの上半身があらわになった。ヒカルの体は熱のせいで少しピンク色になっている。
和谷は体を拭こうと肌にそっと触れる。汗でしっとりとしたそのやわらかい肌は、手に吸い付くような感触で、和谷は理性をなくさないよう必死に我慢し、背中から腕、首筋を丁寧に拭いた。
「へー、進藤ってこんなとこにホクロあるんだ」
普段は髪の毛に隠れている首筋にある小さなホクロを見つけ、和谷はそれに吸い付きたい気分になった。
しかし先ほどの怒ったヒカルの顔を思い出し、その思いを振り払う。進藤は友達だ、仲間だ、ライバルだ・・・などと呪文のように呟いて、和谷は理性を保とうとする。
和谷の手はヒカルの腹部を拭き終わると、その上へと手を伸ばそうとした。
ヒカルは頭痛と熱のせいか意識が朦朧としていた。相変わらず息は荒い。そのため、胸や肩を上下に揺らしていた。
和谷はその様をしばらく見つめていた。ふと和谷は変な気持ちになった。
きっと今の進藤は甘いラムネの味がするのだろう。進藤は眠っている。少しなら、ほんの少しならバレないだろう。
そう思うと和谷はヒカルの小さな胸の突起を舌先でそっと舐めた。口に広がるラムネの甘い香りと味。それはさっきこぼした炭酸飲料のせいだとは理解しつつも、ヒカルの体は甘いのだと勘違いしてしまう。
和谷は何の反応も見せないことをいいことに、もう一度ヒカルを舐めた。胸の辺りから鎖骨、首筋をゆっくりと味わうように舐めあげる。どこを舐めてもヒカルからは甘い味しかしない。
夢中になった和谷は徐々にベッドに身を乗り上げた。それに気づいたヒカルは和谷を拒絶するために名前を呼んだ。
「・・・わ、わや」
きちんと呼吸することができないため、ヒカルは名前を呼ぶことすらままならない状態だった。しかし和谷はそれを違う意味で捉えていた。



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