初めての体験 Aside 番外・ホワイトデー 8


(8)
 おまけ

 社が学校から帰宅すると、ヒカルから荷物が届いていた。きっとアレだ。この前、リクエスト
しておいたやつだ。

―――――それは数日前の出来事だった。
ぴりりりり、ぴりりりり…………
 翌日の授業の予習をしていた社は、面倒くさそうに携帯をとった。
「はい…もしもし…」
「あ、社?オレ!」
電話の主は、最愛の人、進藤ヒカルだった。
「し、進藤!?」
社は慌てて、居住まいを正した。見えるわけないのに、だらしなく着崩していたシャツの
ボタンを閉めたり、髪を整えたりした。
「荷物届いたよ。でも…こんな高いの本当に貰っていいの?オレ……」
ヒカルは、チョコしか渡してないよ?と、心配そうに聞いてきた。
 遠慮している。なんて、可愛いだろう。
「エエねん!進藤に着て欲しいねん!アレ見た瞬間、絶対進藤に似合うと思て、買(こ)うてんから………!」
電話越しに、握り拳で社は力説した。
「うん…ありがとう…ホントはオレもすごく気に入っているんだ。」
可愛い!可愛い!!可愛い!!!ここが大阪でなければ、すぐにでも会いに行けるのに…!
「けど、やっぱ、悪いからオレも何かお返しするよ。何がいい?」
お返しなんていらないのに……でも、貰えるものなら欲しいものがある。
「オレ、進藤の写真が欲しい。それ着たとこと、それから…………」
「それから?」
先を続けていいものかと悩む社を、ヒカルが促した。
「それから………進藤の小さいときの写真が欲しい……」
小さいときのヒカルは、今よりもっと小さくて、きっと可愛かったと思うのだ。今は、
可愛さプラス色気と美貌が備わっている。純度百パーセントの可愛いヒカルが見たいのだ。
「そんなのでいいの?他にないの?」
納得しかねるような様子ながらも、ヒカルは写真を送ることを約束してくれた。



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