初めての体験+Aside 8
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だが、アキラは思いもかけない言葉を口にした。
「迷った?地図を描いたじゃないか!」
社は耳を疑った。
―――――ええぇ!?もしかして、地図を渡したんは塔矢?なんで?
アキラの言葉に、ヒカルも「道を間違えた」と、シラッと答えている。
アキラが、柳眉を逆立てて、ヒカルに怒鳴った。
「だから、駅まで迎えに行こうかって、言ったろ?」
「地図があれば大丈夫だと思ったんだ!」
ヒカルも負けじと、アキラを睨み付けた。社が混乱している間にも、二人はますます
ヒートアップしていく。将に一触即発だ。
「おい…」
社が二人を止めようとしたとき、アキラが声を和らげた。
「…キミが心配なんだよ…」
「あんまり遅いから、玄関でずっと待っていたんだ…」
「…塔矢、ゴメン…」
ヒカルは、素直に謝った。そして愛くるしい笑顔で甘えるように言った。
「塔矢は過保護だなぁ。オレは大丈夫だってば…」
「でも、現に迷ったじゃないか?」
「だって、それは…」
社がいるのを忘れているのか、放っておくと二人は延々とこんな会話を続けそうだった。
こういうのを世間では、バカップルと言うのだろうか?
―――――そやけど、進藤とやったらバカップルと言われたいわ…
社は、心底アキラが羨ましかった。ヒカルの中で、自分はやっぱり二番目だった。心の中で泣いた。
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