社妄想(仮) 8
(8)
下腹部をなぞる指の動きにヒカルは堪らず目を閉じる。
そうすると、神経はより過敏になってしまう事を経験から知っていたが、目を開けて否が応にも視界に入ってしまう光景を見る方がもっと不快だった。
ヒカルの細腰を抱え上げ、背筋から滑らかな曲線を描く臀部を指でなぞる社の愛撫は
羽が掠めるような繊細なもので、全身が総毛立つような感覚にヒカルは声にならない悲鳴を上げる。
肝心な所に触れてくれないのがもどかしい、ヒカルはそう思って、次にはそんな自分を恥じた。
太股を同じように指先が彷徨った後、足の付け根に程近い部分に熱く濡れたものが触れた。
舌先の滑った感触に知らず腰が浮く。
その瞬間を狙ったように、反った胸の小さな尖りを服の上から強く爪弾かれた。
「……っ、ぁんっ!」
くくっとくぐもった笑いが聞こえる。
反射的にヒカルは目を開けて社に怒鳴り付けていた。
「何がおかしいんだよっ!」
するとさも心外だと言わんばかりに社は肩を竦めた。
「別に。気に触ったんか? オレはただ同じ男でも随分反応が違うもんやなーって感心してただけ」
「同じ、男……?」
ヒカルが怪訝そうに問いかける声を無視して、社はヒカルのシャツに手を掛けた。
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