魔境初?トーマスが報われている小説(タイトル無し) 8 - 9
(8)
「そういえば進藤ってココ、弱いんだよな」
「ひぁっ!」
身体中に電気みたいな痺れが走る。和谷が俺の乳首を指先で軽く摘まんだから。
それだけでもうどうしていいかわからないのに、和谷はその輪郭を舌でなぞり始めた。
まるで、赤ん坊が母親の胸にするみたいに。そんなことしても甘いミルクなんて1滴も出ないのに。
「やっ…和谷ぁ。いいかげんに…」
「やっぱりお前のココって、やらしくて最高。ほら、何もしてない反対側まで凄いぜ?」
わざわざ俺の頭をもたげさせて、胸を見せつける。
そこには和谷の唾液に濡れて、てらてら光った右胸と、触られてもいないのに赤く充血して尖ってる左胸。
さっきまで薄茶色だったソコは、今はピンク色に近かった。
さすがに今度は真っ赤になった顔を隠しきれなくて、そんな俺の反応を和谷は楽しげに笑っていた。
なんで、そんなに余裕なんだよ。
そう思って睨みつけると、和谷は笑いをおさめて真剣な表情をした。
「悪い。つい、がっついちゃってさ。もう興奮して、抑えきれねぇんだ」
俺の手が、和谷の左胸に導かれる。その下では、嘘みたいに速い鼓動がドクドクと打っていた。
俺よりもずっと早くて、このままだと心臓が壊れちゃうんじゃないかと思うほどに。
和谷も、緊張してるんだ。
ちょっと気持ちが楽になって、俺は胸から手を離すと和谷の頭を抱き寄せた。
我ながら、単純だ。でもさ、俺ばっかり意識してるなんて悔しいじゃん。
(9)
和谷の手はだんだん下へ下へと降りていって、ついに俺の太腿の内側まで辿り着いた。
最後の砦だったトランクスは、脱がされてベッドの外に放り投げられた。
ゆっくりと性器を握りこまれて、全身に粟立つような感覚が広がる。
キモチイイっていうのとは違うけれど、だからって嫌なわけじゃなくて。
なんていうか、俺の全てが和谷の手の中にあるっていうか、そんな畏怖に似た感情。
最初はそっと、そして少しずつ激しい刺激を加えられて、息が乱れていく。
だんたん硬く勃ち上がっていくのがわかったけれど、決定的なものがなくてイケない。
それは和谷が下手とかじゃなくて、たぶん俺が緊張しすぎているから。
「無理かな……」
和谷が緩急をつけたり、部位を変えたりと色々試してくれるけど、やっぱり駄目で。
もういいよって言おうとした瞬間に、和谷はとんでもない行動に出た。
「な、なにしてんだよ、和谷っ!!」
くせっ毛が、俺の股の間で揺れていた。和谷が俺のモノを、口で咥えていた。
押しのけようとしても、和谷は信じられないほどの力で抵抗した。
そのくせ、俺の性器を愛撫している舌の動きは優しさそのもの。
あんまり気持ちが良くて、俺の身体から力が抜けていく。だんだん水音が大きくなっていく。
身体中の血が、和谷の口の中めがけて集まってくるような感覚。
そして。
「ああっ…!」
止める間もないままに、和谷の口の中に出してしまっていた。
もう居たたまれなくて俯いた俺に、和谷の声が降ってくる。
「へぇ、これってこんな味がするんだな」
「……変態」
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