平安幻想異聞録-異聞- 81 - 82
(81)
座間が忍び笑う。
「せんだっての竹林では、気の利いた明かりもなく、きちんと賞翫することも
かなわなかったが、こうして見れば、やはりなかなかではないか」
「まことに」
「顕忠、明かりをもっと、こちらに寄せい」
菅原が高燈台をもって、それをよりヒカルと座間に近い場所に置き直した。
ヒカルの普段は日にさらされることのない部分の白い肌が、
明かりの橙色に染まって揺れた。
座間はそのヒカルの裸体を、上から下まで嘗めるように眺めて検分する。
ヒカルは恥ずかしさに目をそらしそうになるのを必死でこらえて、座間を
果敢に睨み続ける。
そのヒカルの瞳を、座間が楽しそうに見ながら言う。
「いや、面白い。散らしがいのありそうな花よ」
座間がゆっくりと立ち上がった。
と、思うと、自分も袍を脱ぎ捨て、指貫の帯をほどき、前をあらわにした。
使い込まれて赤紫になまめく座間の陽物はすでに半分立ち上がっていた。
常人より一回りほども大きく、頑丈そうな亀頭を備えた豪物は、あの下弦の月の夜に、
最初にヒカルの体をこじ開けた因縁の物でもあった。
それはこれから自らに起こることを期待して、ドクドクと波打っている。
座間がヒカルに命じた。
「銜えろ」
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座間の言葉に、それまで平静を装っていたヒカルも怯えたように目を見開いた。
「どうした。約束は反故にするのか。それでも儂はかまわぬがの」
座間の言葉にヒカルは心を決める。
その場にひざまづき、膝立ちのまま2.3歩前に出、座間の足元までにじりよる。
顔をあげて座間の顔を睨みつけた。座間が勝ち誇ったような、嗜虐心に満ちた目で
ヒカルを見下ろしていた。
ヒカルは、その座間の顔から目線を外した。
おそるおそる、座間の半立ちになっている男根の竿の部分に手を伸ばし、持ち上げてみる。
焼けるような熱さと、並外れた重量感。
銜えろといわれて、口淫を要求されているのはわかったが、そんな技は
検非違使仲間の下卑たうわさ話でしか聞いた事がないヒカルは、
正直どうしていいかわからない。
だが、やるしかないのだ。
ヒカルの薄い唇から、チラリと赤い舌先がのぞいた。
それで、おずおずとした動作で、座間の物の先端を嘗めてみる。
それだけで雄特有の生臭い匂いが、口に広がった。
続いて、その周りの冠頭の部分にも舌先を這わせてみる。舌先に刺すような
違和感のある味を感じたが、かまわず先に進む。
棹と亀頭の間の張りだした部分にそって、ゆっくりと嘗めてみた。
自分の手に支えられた座間の陽物が、固さを増したのがわかった。
そのまま、わずかに差し出した舌先だけで、棹の部分も先端から根元の部分に向かって
丁寧に舌先を使って刺激し、根元の部分にたどり着くと、もう一度最初の部分から、
同じことをやり直してみる。
だが、そのヒカルの唇の間から舌先だけがチロリチロリとのぞく様が、
さらに座間の加虐心をあおっているなど、ヒカルには想像だにしないことであった。
突然、座間が自分の股間の前にひざまずくヒカルの髪をガシリとつかみ、
上を向かせた。
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