平安幻想異聞録-異聞- 81 - 85
(81)
座間が忍び笑う。
「せんだっての竹林では、気の利いた明かりもなく、きちんと賞翫することも
かなわなかったが、こうして見れば、やはりなかなかではないか」
「まことに」
「顕忠、明かりをもっと、こちらに寄せい」
菅原が高燈台をもって、それをよりヒカルと座間に近い場所に置き直した。
ヒカルの普段は日にさらされることのない部分の白い肌が、
明かりの橙色に染まって揺れた。
座間はそのヒカルの裸体を、上から下まで嘗めるように眺めて検分する。
ヒカルは恥ずかしさに目をそらしそうになるのを必死でこらえて、座間を
果敢に睨み続ける。
そのヒカルの瞳を、座間が楽しそうに見ながら言う。
「いや、面白い。散らしがいのありそうな花よ」
座間がゆっくりと立ち上がった。
と、思うと、自分も袍を脱ぎ捨て、指貫の帯をほどき、前をあらわにした。
使い込まれて赤紫になまめく座間の陽物はすでに半分立ち上がっていた。
常人より一回りほども大きく、頑丈そうな亀頭を備えた豪物は、あの下弦の月の夜に、
最初にヒカルの体をこじ開けた因縁の物でもあった。
それはこれから自らに起こることを期待して、ドクドクと波打っている。
座間がヒカルに命じた。
「銜えろ」
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座間の言葉に、それまで平静を装っていたヒカルも怯えたように目を見開いた。
「どうした。約束は反故にするのか。それでも儂はかまわぬがの」
座間の言葉にヒカルは心を決める。
その場にひざまづき、膝立ちのまま2.3歩前に出、座間の足元までにじりよる。
顔をあげて座間の顔を睨みつけた。座間が勝ち誇ったような、嗜虐心に満ちた目で
ヒカルを見下ろしていた。
ヒカルは、その座間の顔から目線を外した。
おそるおそる、座間の半立ちになっている男根の竿の部分に手を伸ばし、持ち上げてみる。
焼けるような熱さと、並外れた重量感。
銜えろといわれて、口淫を要求されているのはわかったが、そんな技は
検非違使仲間の下卑たうわさ話でしか聞いた事がないヒカルは、
正直どうしていいかわからない。
だが、やるしかないのだ。
ヒカルの薄い唇から、チラリと赤い舌先がのぞいた。
それで、おずおずとした動作で、座間の物の先端を嘗めてみる。
それだけで雄特有の生臭い匂いが、口に広がった。
続いて、その周りの冠頭の部分にも舌先を這わせてみる。舌先に刺すような
違和感のある味を感じたが、かまわず先に進む。
棹と亀頭の間の張りだした部分にそって、ゆっくりと嘗めてみた。
自分の手に支えられた座間の陽物が、固さを増したのがわかった。
そのまま、わずかに差し出した舌先だけで、棹の部分も先端から根元の部分に向かって
丁寧に舌先を使って刺激し、根元の部分にたどり着くと、もう一度最初の部分から、
同じことをやり直してみる。
だが、そのヒカルの唇の間から舌先だけがチロリチロリとのぞく様が、
さらに座間の加虐心をあおっているなど、ヒカルには想像だにしないことであった。
突然、座間が自分の股間の前にひざまずくヒカルの髪をガシリとつかみ、
上を向かせた。
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「どうやら、このやりかたも一から仕込んでやらねばならんようだの」
言うが早いが、がしりと大きく武骨な手でヒカルのアゴを押さえて、
無理矢理明けさせると、そこに怒張した自らの分身を押し込んだ。
反射的に逃げようとするヒカルの頭を、座間が恐ろしい程の力で押さえ込む。
「噛んだりすれば、約束は反故じゃな」
ヒカルの動きが止まった。
座間がヒカルの口に収まったそれを揺らす。
「ほれ、どうした?」
ヒカルは、たどたどしく舌を動かし、口の中のそれを愛撫する。
座間のそれは、ヒカルの中でより膨れ上がり、その熱は燃えるように
高まっていく。
口を一杯一杯に押し広げなければ、とても含み続けることの出来ないそれを、
ヒカルはそれでもなんとか舌を動かして、嘗め続けた。
興が乗ってきた陽物がより深く突き入れられたが、それを思わず吐きだしそうに
なったヒカルを、座間が頭を押さえて許さない。座間は次にギリギリまで
自らの陽物を引き抜くと、ふたたび勢いよく、ヒカルの喉の奥まで押し込んだ。
そして、そのまま女の会陰にするように力強い抜き差しを開始する。
「ふぐ……んっ…ぐ……」
繰り返し奥まで圧迫されるヒカルの喉から苦悶のうめきがもれる。
髪をつかまれ、頭を動かせないように固定されながら、息も出来ぬほど中まで、
座間の陽根が侵入してくるのに目をきつく閉じて耐える。
膨張した座間のそれの先端から、先走りの液が出始めたのが、口に広がった
青臭い匂いと味でわかった。
座間の腰の動きが激しく荒々しいものになる。座間はより乱暴な動きでヒカルの
口腔内を思いきり犯すと、突然それを引き抜き、ヒカルの顔の前に持って来た。
白い樹液が勢いよくはじけて、ヒカルの顔にかかった。
粘り着く大量のそれは、ヒカルの眉を汚し、小さな鼻にべっとりと取り付き、
ねとりと頬をつたい顎を滴って、床にボタリボタリと落ちた。
「いい眺めじゃ」
拭うこともできず、茫然としているヒカルを座間が笑う。
「どうじゃ、顕忠、お前も。上の口の味はまだまだじゃが、青い果実を
食してみるのも一興よ」
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「では、遠慮なく」
菅原が前をはだけた。座間の物より小振りながらも雁高に見事な形のそれは、
すでに雄々しく達上がり、弓なりにその姿をそらしていた。
菅原がヒカルの前に立ち、座間と同じように、まだ白い樹液の滴る口をこじ開け、
陽物をねじ入れる。
ヒカルが舌を使う事を考えるいとまもなく、菅原はそれをヒカルの口をつかって
扱きはじめた。
「ん…ぐ……っんぐ」
菅原は自分の腰だけでなく、ヒカルの頭の方も強い力で揺さぶって快楽を追う。
あまりの苦しさに、舌を強く使ってそれを追い出そうとした動きは、
己の口の中の雄を刺激するだけで、唇の動きは、反対に強くその陽根を
締めつけることになってしまった。
やがて菅原は、小さくうめき声をあげると、それを外に出す間もなく、
今度はヒカルの口の中にその淫液を放出した。
「吐き出すなよ、吐き出すなよ」
その様子を座間が楽しそうに見ている。
咳き込み、うつむこうとする口を菅原の手で塞がれて、ヒカルは結局、
口の中に吐き出されたそれを全部飲み込んでしまった。
息を整え、口元にまとわりつく座間のものをぬぐって、ヒカルが吐き捨てるように言う。
「これで、満足かよ」
「いいや、まだまだじゃな」
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座間が応えた。見ればその股の間のものは、ヒカルが菅原に奉仕させられている間に
再び天に向かって屹立し、あからさまに不満を訴えていた。
まるでイボか何かのように太い血管が浮き出しているのさえ見てとれるそれは、
いっそ禍々しいほどだった。
「わしを満足させるには、まだまだ足らんよ検非違使殿」
後ろを向けと命じる座間に、ヒカルがしぶしぶ背中を向けると、いきなり
後ろから腰をつかまれ、前かがみに首を床に押し付けられた。
抵抗できないように、腕を伸ばされ床に強い力で縫い付けられる。
ちょうど猫が伸びをするような態勢だった。
「なにす……!」
そのヒカルの頭の上から、諭すような菅原の声が振ってきた。
「本来ならおまえのような下賤の生まれのものが目通りもかなわぬような座間様が、
おまえの下の鞘に、その見事な刀を収めて下さるというのだ。ありがたく思うがよいぞ」
「わしの刀は、今まで幾百の女も男も泣かせてきた業物よ、ありがたく受け取るがよい」
座間が自分のそそりたったモノをペチペチと叩く音がした。
そして、ヒカルが心の準備をする間もなく、ほぐされてもいないヒカルの「鞘」に、
座間の「刀」が一気に差し込まれた。
ヒカルの悲鳴があがった。
それはまさに刀だった。鍛えるために火にくべられ、炎の中から取りだされたばかりの
灼熱の鋼の刀が、ヒカルの体を刺し貫いた。
身を切り裂かれる苦痛にヒカルの全身から汗が噴きだした。
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