失着点・展界編 83
(83)
ヒカルの方の準備が整ったと判断した和谷は、伊角を見て、二人でヒカルを
うつ伏せにさせた。ヒカルはもはや人形のように抵抗の気配を失っていた。
にもかかわらず、伊角がヒカルの両手首をヒカルの背中でクロスさせて、
和谷が柔らかいタオルで縛った。
「…ごめんよ、急に暴れ出されたりして、傷つけたりしたくないから…」
そして念には念を入れるように、和谷は小さな化粧品のビンのようなものを
出すと中のローションを手にとって、白く露になっているヒカルの双丘の
谷間を浸した。そして自らズボンを下ろし、固くそり上がった自分自身を
谷間の中心に宛てがった。
ヒカルのウェストを抱え、少し引き上げるようにして、少しずつ押し入る。
最初に多少強めの抵抗感はあったが、やがて吸い込まれるように和谷自身は
ヒカルの体内に根元まで収まった。
伊角は壁際で息を飲んでその瞬間を見ていた。初めて目の前で性行為を、
…男同志が結合するところを見て、固まったまま動けないようだった。
「すげエ…全然違…う…や、柔らかい…」
和谷はヒカルの腰を強く抱き締め、内部の感触を全身で味わっている。
「やっぱり…進藤って…気持ちいいや…」
それまで衝動を抑えて時間をかけて用意していた反動のように、和谷は直ぐに
ヒカルの中で激しく動き始めた。
つい先日に緒方のモノを受け入れたヒカルの狭道は、若干若いサイズの和谷の
激しさをほとんど痛みを伴わず許容した。和谷の動きに体が揺すられる中で
ヒカルは伊角を見た。伊角の視線はヒカルよりやや上の方に向けられていた。
ヒカルの感触を夢中で味わい貪る和谷をじっと見つめているようだった。
|