初めての体験 87


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 加賀は、二人をチラッと見ると、
「じゃあ…おめえらはやりたくねえんだな?これが最後のチャンスかもしれねえぜ…」
ゆっくりと言葉を吐いた。二人は、ぐっと答えに詰まった。
「やだ!やめてよ!加賀…味方じゃなかったのかよ?」
「それはそれ…これはこれだ…」
「やだよ…助けてよ…三谷…筒井さん…」
ヒカルが、大きな目に涙をいっぱい浮かべて、訴える。その涙が、かえって相手を煽ることに
ヒカルは気づいていない。
 先に覚悟を決めたのは、三谷だった。ヒカル達の側に近づくと、加賀の代わりに、ヒカルの
両腕を押さえ込んだ。ヒカルは、解剖されるカエルのように、身体を実験台の上に張り付けに
された。大きめの学生服の中でヒカルの身体は、泳いでいた。折り曲げられた制服の裾から、
見える手足が可愛らしい。加賀は、手際よく、ヒカルのその学生服のボタンを外していく。
 ヒカルは、狂ったように暴れた。身体を捻り、足をばたばたさせる。加賀が、チッと小さく
舌打ちをした。これでは、制服を破りかねない。
「おい!筒井!ボーっとしてねえで、こいつの足を押さえろ!」
放心していた筒井は、加賀の怒鳴り声で、状況を把握した。
 こうなったら……! 筒井は、加賀の言うとおりにヒカルの足を押さえ付けた。
「つ…筒井さん…!!」
ヒカルが、目を大きく見開いて、呆然と筒井を見た。筒井はそれを受け止めることができず、
視線を逸らした。



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