初めての体験 囲碁部
(87)
加賀は、二人をチラッと見ると、
「じゃあ…おめえらはやりたくねえんだな?これが最後のチャンスかもしれねえぜ…」
ゆっくりと言葉を吐いた。二人は、ぐっと答えに詰まった。
「やだ!やめてよ!加賀…味方じゃなかったのかよ?」
「それはそれ…これはこれだ…」
「やだよ…助けてよ…三谷…筒井さん…」
ヒカルが、大きな目に涙をいっぱい浮かべて、訴える。その涙が、かえって相手を煽ることに
ヒカルは気づいていない。
先に覚悟を決めたのは、三谷だった。ヒカル達の側に近づくと、加賀の代わりに、ヒカルの
両腕を押さえ込んだ。ヒカルは、解剖されるカエルのように、身体を実験台の上に張り付けに
された。大きめの学生服の中でヒカルの身体は、泳いでいた。折り曲げられた制服の裾から、
見える手足が可愛らしい。加賀は、手際よく、ヒカルのその学生服のボタンを外していく。
ヒカルは、狂ったように暴れた。身体を捻り、足をばたばたさせる。加賀が、チッと小さく
舌打ちをした。これでは、制服を破りかねない。
「おい!筒井!ボーっとしてねえで、こいつの足を押さえろ!」
放心していた筒井は、加賀の怒鳴り声で、状況を把握した。
こうなったら……! 筒井は、加賀の言うとおりにヒカルの足を押さえ付けた。
「つ…筒井さん…!!」
ヒカルが、目を大きく見開いて、呆然と筒井を見た。筒井はそれを受け止めることができず、
視線を逸らした。
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信頼していた者達に裏切られたショックで、ヒカルの全身から力が抜けた。それでも、
弱々しく、何とか身体を捻ったり、腕を動かそうとしていた。シャツの前が開かれ、ヒカルの
白い胸や腹部が露わになった。そのまま、加賀は、ズボンのベルトに手を伸ばした。
カチャカチャとベルトを外す音が、辺りに響いた。
「おっと…カーテンと入り口の鍵も掛けとかなきゃな…」
加賀が、夏目に顎を癪って命令した。夏目はあたふたとそれを実行した。
それを見て頷くと加賀は改めて、ヒカルの服を脱がせることに専念した。しゅるしゅると
ズボンを下着ごと引き抜こうとしたが、上履きを履いたままだったので、踵の辺りで、
詰まってしまった。靴を脱がせ、邪魔な布きれをヒカルから剥がした。
「たまんねえ…」
生唾を呑み込む音が聞こえた。薄い胸板やそこに色づく小さな突起…白い内股……。
視姦されていることに気づいたヒカルの身体が、羞恥の色に染まった。その姿の艶容なことと
言ったら…。
加賀がヒカルの胸や腹を指でなぞった。ヒカルの身体が、ピクリと震えた。怯えたように
自分を見るヒカルの目を見据えたまま、加賀は、ヒカルの首筋に吸い付き、そのまま、胸へと移動した。
「やぁ…やだ…あ…はぁ…ん…」
ヒカルが、小さく喘いだ。胸を舌で嬲られ、ヒカルが断続的に悲鳴を上げる。乳首を吸われ、
ヒカルは、完全に加賀に屈した。もう、抵抗できない。
「あ…ああん…」
三谷の手が、首筋や胸元を撫で、筒井がヒカルの腿に唇を這わせた。
ヒカルは助けを求めて、すがるようにあかり達の方を見た。だが、あかりと津田は
ぺたんと床に座り込み、スカートを押さえて、膝をこすりつけるようにモゾモゾとしていた。
顔は、赤く目を潤ませ、口からは荒く吐息が吐かれている。夏目も同じような状態だ。
ヒカルの嬌態に欲情しているのだ。
『もう…ダメだ…』
ヒカルは、最後の希望が絶たれたのを感じた。
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「―――――!やだ!やだよ!やめて!」
ヒカルは首を振って、自分に施されている行動を止めようとした。それまで、ヒカルの
股間を嬲っていた加賀の指が、ヒカルの後門の周辺を愛撫し始めたからだ。
「お前、いつも、ここだけはさせてくれなかったな…」
「やだ!そこはイヤなんだよぉ……お願いやめてよ…」
ヒカルが涙を流して、頼んでも、加賀の動きは止まらない。その間、三谷や筒井も
思い思いにヒカルの肌の感触を楽しんでいた。
加賀が、ハンドクリームを指先にたっぷり付け、後ろに当てた。そうして、そのまま、
指を一気に沈ませた。
「や―――――っ」
ヒカルが、細い悲鳴を上げた。加賀が指を動かす度、ヒカルの身体がはねた。
「あっ…あっ…」
中を刺激され、ヒカルは甘い声を止めることが出来なかった。
「進藤…気持ちいいのか?」
三谷が耳元で囁いた。ヒカルは、返事をする代わりに身体をビクッと震わせた。
やがて、指が抜かれた。ヒカルがホッと息を吐くまもなく、もっと熱くて重いモノが、
押しつけられた。
「やめ…―――――――――!!!」
ヒカルの身体が反り返った。その肩を三谷が押さえ付け、そのまま、悲鳴をあげる
ヒカルの唇を塞いだ。太股は、筒井に支えられ、高く持ち上げられている。
「う―――うぅ」
「いいぜ…進藤…すげえ…気持ちいい…」
加賀が、腰を前後に揺らした。
ヒカルは叫ぶことも、暴れることも出来ず、ただ、痛みを甘受し、加賀の好きなように
身体を揺さぶられ続けることしかなかった。
ヒカルは、自分の身体がじわじわと変化していくのを感じた。痛みが徐々に、しびれるような
甘い感覚に変わっていく。
「あ…はぁ…ああ――――」
ヒカルの緊張が解けたとき、身体の奥に熱いものが注がれるのを感じた。
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終わったはずなのに、加賀はヒカルを離さなかった。加賀がヒカルの中に収まったまま、
再び腰を揺らした。一旦、はじけたヒカルのモノがまた勃ち上がり始めた。
「はぁ…ああん…やだ…」
ヒカルの艶っぽい声に、三谷が上擦った声を上げた。
「早く代われよ…もう…オレ…」
筒井もヒカルの身体を弄びながら、熱っぽい目で、ヒカルと加賀の行為を見ている。
加賀はそれを無視して、殊更、ゆっくりとヒカルを味わうと、満足気にヒカルから離れた。
加賀がヒカルから出た後、慌てて三谷が侵入してきた。ヒカルの身体は、それを簡単に
受け入れた。
「あ…」
ヒカルの頭の中は、もう、快感を追うことしか出来なくなっていた。
こういった経緯から、ヒカルは今ひどく傷つき、ショックを受けていた。初めての
相手はアキラと決めていたのに……。
「でも、ヒカル。気持ちよかったんでしょう?」
ヒカルは、佐為を睨み付けた。気持ちよかったからよけいに腹が立つのだ。最初は、かなり
痛かったが…途中から……。
「で…でも、オレは犯られたんだぞ!加賀だけじゃなく、三谷や筒井さん…それから…」
後は、とてもじゃないけど、口には出せない。
「ねえ…ヒカル……物は考えようですよ。だって、色々と経験を積んだ方が、
塔矢を喜ばせて上げられますよ?」
その言葉に、ヒカルの表情が、急に変わった。
「その方が塔矢も喜ぶかな?」
瞳が、キラキラと輝いている。
「そりゃあ、自分だけが気持ちいいより、相手も気持ちいい方がいいでしょう。」
佐為がにっこりと笑った。
「そっか――――囲碁って奥が深いな。」
ヒカルはしみじみと思った。そして、これからは、どんどん強い相手と対局して、
経験を積もうと思った。
<終>
(91)
今日はアキラにとって、記念すべき一日になるはずだ。なぜなら、プロになったヒカルと
初めて対局するのだから―――――
そう言えば、これは幾つ目の記念日だったか…。アキラにとって、ヒカルとの出来事は
すべて記念日だった。
初めて会った日、大負けした日、囲碁大会で会った日、それから…囲碁大会の三将戦は、
記念日に入れてもいいのだろうか?ああ、ネットカフェで会った時の進藤は可愛かった。
頬をつつきたくなるくらいキュートだった。つい、意地悪を言ったが本気じゃなかったんだ。
若獅子戦…あの時も、意地を張ったりしないで、最初から素直に見学すれば良かった…。
初対局になるはずだったあの日、お父さんが倒れなければ…!と、一瞬でも思ってしまった
親不孝なボクを許してください。等々……。
こうして考えてみると、けっこう、二人は会えそうで会えないすれ違いが多い。運命は
残酷だと思った。大昔のドラマにこういう話がなかったっけ?
極めつけは、ヒカルの『もう、打たない』宣言だ。手合いに出てこないヒカルに焦れて、
学校まで押し掛けてしまった。久々に見たヒカルにいつもの明るさはなく、表情に憂いを
湛えていた。初めて見たあんなヒカルを…。やせた頬や、伏せた大きな瞳に陰を落とす
長い睫毛……。元気のないヒカルに、元気に反応してしまった自分は、結構な恥知らずだ。
でも、もういい。落ち込む心を隠しつつ、碁を打ち続けた自分の元に、ヒカルは
帰って来たのだから――――本因坊リーグ戦が終わった後、ヒカルが会いに来てくれた。
誰に、どんな誉め言葉をもらうよりも、嬉しかった。天野さんがいなかったら、その場で
押し倒していたかも……。だって、はにかむ進藤がすごく可愛かったから…。
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