裏階段 アキラ編 89 - 90
(89)
膝の上で止まっていた手は、そのままアキラの体に戻る。
今度は背中ではなくその付け根へと向かう。
アキラの腕に力が込められる。
両側から手の平で、アキラの臀部を包んだ。
背中や膝とは違う皮膚の感触がそこにはあった。
アキラの肌はどこも滑らかで肌理が細かかった。だがそこはそれ以上に
しっとりと手の平に吸い付くような柔らかな触感だった。
オレの膝に跨がっていることでその谷間は無防備に大きく開いている。
指先がその近くを掠めた。
「あ…」
ビクリとアキラの体が震えた。
「…嫌か?」
そう尋ねるとアキラは顔をこちらの肩に預けたまま首を横に振る。
それでも相当アキラが緊張しているのは感じた。
片手をその箇所から、ゆっくりと膝へ戻して今度はその内側からアキラの体に
辿る。アキラの両足の間に滑り込ませる。
「…んっ…!!」
苦しい程にアキラの両腕がこちらの首を締め付けて来る。
アキラのその部分は想像していたよりすでに熱く大きく昂っていた。
本人以外の者の手によって触れられ捉えられて、激しく脈打っていた。
(90)
シャワーでは消えないアキラの匂いを抱いていた。
『…ボクを助けて…!』
あの家で、あの夜、同じ言葉を吐き出し、オレは先生に縋った。
先生はひどく躊躇っていた。それでもオレは必死だった。
あの時受け容れてもらえなかったら精神が崩壊しそうだった。
アキラが何に追われ、何に怯えていたのかは分からない。
才能や将来に対する過度の期待やプレッシャー、考えつくのはそんなところだ。
だがそれだけの事でここまで誰かに救いを求めるだろうか。
アキラが本当は何に怯えていたのか、その時はわからなかった。
昂ったアキラのモノの根元を軽く握り、先端に向かって手を動かす。
「んんー…」
アキラがくぐもった呻き声を漏す。
すでに先端から蜜が溢れていて指を濡らした。
おそらくシャワーを浴びた直後から、いや、それ以前から、
アキラは精神的にも肉体的にも激しい興奮状態にあったようだった。
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