平安幻想異聞録-異聞-<外伝> 89 - 90


(89)
風が吹いて、枯れた萩の葉がかさかさと音を立てるのが、御簾の向こう
から聞こえてくる。
アキラに謝らなくちゃと考えた。
彼にはひどいことをしてしまった。
あの時の、彼になりふりかまわず縋り付いてしまった自分を思い出すのは恥ず
かしいけれど、でも、会って友人としての筋は通しておきたい。
それから、あかり。彼女にも甘えたいだけ甘えてしまった。幼なじみの気安さで。
あれから検非違使庁にも顔を出した。
加賀はヒカルをみるなり、また扇でこつんとヒカルの額をつついた。
「まったく。しっかりしてくれよ」
それで終わり。ヒカルは再び検非違使の仕事にも復帰した。
聞く話によると、あの日ヒカルに狼藉を働いた男達は、それぞれが遠い築後やら
石見やらに左遷になったそうだ。
ばたばたと荒く板敷きの廊下を踏みしめる音がして、和谷と門脇が部屋に入って
きた。
吹き込んだ空気の冷たさに、ヒカルは手首に鳥肌をたてる。


(90)
「まったく、みんな自分のことばっかでやってらんねぇよ! ちっとは政の
 ことも考えろっての!」
愚痴を吐く和谷を横目に、門脇が苦笑いしながら、伊角に見聞きしたことを
語っている。
「今日は、陰陽寮のお役目確認でね。清涼殿にあちらのお偉いさんが集まって
 るよ」
「また、妙なことにならないといいけどなぁ」
伊角が門脇がもちこんだ書類を眺、その端麗な眉をしかめながら、言う。
「そうだな、去年もあいつらが十日も前になってから、方角がどうのとか
 言いだして、儀式を行う殿が替わってエライ騒ぎだったっけな」
「あ、そうだ、近衛」
和谷が特徴ある癖の頭髪をゆらして、ヒカルの方を見た。
「倉田さんから聞いたんだけどさ、おまえ、賀茂アキラがどうしてるか
 知ってる?」
「え?」
「なんか、この三、四日、陰陽寮に顔出してないらしい。使いを出しても門も
 開けてもらえないとかで…。なんかあったのか?」



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