Linkage 9 - 10
(9)
「……どうして…こんな……ひぁッ……ァん…」
すでに緒方自身も十分に硬くなっており、そそり立ったペニスがバスローブ
を通して組み敷かれたアキラの太股に触れ、その熱を伝えているにも関わらず、
緒方は無関心を装うかのようにアキラの上半身に執拗な愛撫を繰り返すだけで
あった。
「どうして?アキラ君の身体はちゃんと答を知っているのに、どうしてはないだろ」
事実、緒方の言う通りであった。
既にアキラの身体は次に緒方がどこを愛撫してくるか知り尽くしており、
アキラが意識せずとも、身体は勝手にその箇所に全神経を集中させることが
できた。
全神経を集中させた箇所に、緒方の指が、唇が触れる度に、普段では
経験できないほどの快感の波がアキラに押し寄せてくる。
「次はどこか先回りして待てるなんて、オレの教え方がうまいのかな?
……それともアキラ君の天与の才なのかい?」
緒方は意地悪く笑うと、アキラの脇腹に指先で触れるか触れないか程度の
刺激を与えた。
その瞬間、緒方のバスローブの袖口がアキラの猛り狂ったペニスをかすめる。
「ふァッ……うッ!」
我慢の限界を超えたペニスの先端から白濁した液体が勢いよく溢れ出し、
アキラの腹と緒方のバスローブを濡らした。
緒方はわざと困ったような表情をしてアキラの濡れた先端を舌先でちろちろと
弄ぶ。
「まだ前哨戦も終わってないぞ。まあアキラ君は若いしすぐ回復するのかな?
クックック」
そう言いながら、緒方は精液で濡れたアキラの腹を丹念に舐めてやると、
上体を起こし、バスローブを手荒く脱ぎ捨てて床に放り投げた。
(10)
「おいおい、最後までしなくてもいいんだぜ。いい加減、顎が怠いんじゃ
ないか?」
緒方は微かに漏れる熱い吐息を押し殺すように、アキラの髪の中に差し
入れた手に力を込めると、苦笑しながら言った。
怒張した緒方のペニスがアキラの口腔内を占領してから既にかなりの時間が
経過している。
にもかかわらず、緒方のそれは当分達しそうもない様子であった。
アキラは苦しげな表情で、根元まで含み込んでいた緒方のペニスを
ゆっくりと引き抜くと、肩で息をしながら頭上にある緒方の顔を覗き込んだ。
緒方のペニスの先端とアキラの唇との間を透明な細い糸が繋ぐ。
「せっかくのご厚意は有り難いんだが、口だけで最後まではキツイだろ、
アキラ君」
そう言って、緒方はアキラの髪を軽くかき乱すと、もう片方の手でアキラの
顎を軽く持ち上げてその唇に指を這わせた。
「……でも……ボクは……」
言いかけて、アキラは口をつぐんだ。
できることなら緒方を自分の唇と舌で意のままに操り、果てさせてみたい……
緒方とベッドを共にする度に、アキラの中にそんな欲望が頭をもたげる。
いつも緒方のなすがままにされることへの、アキラなりのささやかな意趣返し
なのだろうが、明らかに緒方とアキラでは格が違う。
緒方を果てさせるどころか、逆に気を遣わせているのが現実であった。
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