敗着 9 - 10


(9)
おぼつかない手つきでボタンを外してゆく。
後ろで「カチリ」とライターの音がして、やがて煙の臭いが漂ってくる。
(塔矢─。)
そのことは考えまいと目を閉じて、袖から腕を抜いた。
「ズボンを脱げ」
先刻とは異なる冷淡な口調に体が竦む。
ベルトを解きボタンを外しチャックを下ろす。
自分が何をしようとしているのかを、体が徐々に理解し始める。
「・・・・・」
「下着もだ」
逃げ出そうとも考えたが、逆らうわけにはいかない。
シャツの裾で下半身が隠れるのを有難いと思い、下着を下ろす。
「そこに手をつけ」
いつの間にか煙草は脇の灰皿に捻り潰され、消えていた。
(え・・・?)
「ソファに手をつけ」


(10)
恐る恐る振り返る。
そうした時の自分の姿を想像し、躊躇うが、
緒方の目を見て俯き、ソファに向き直る。
座りこみそうになるのを必死にこらえ、やっと言われた通りにする。
「腰を上げろ」
羞恥で顔が真っ赤になっているのが自分でも分かる。
緒方は立ち上がるとヒカルに近付き、両手をポケットに突っ込んだままで
ヒカルの両の足首の内側を蹴飛ばし、足を広げさせた。
「足ももっと開け」
─と、いきなりシャツの裾を捲り上げた。
「わっ・・・」
思わず足を閉じそうになるが、緒方はそこを一瞥し
「・・・アキラも子供だな。」
と短く言い放っただけだった。
そしてヒカルの肩を掴み体を引き寄せ、後ろから抱き締めた。

(緒方・・・先生?)
腕時計の金属が下腹部に当たり、その冷たい感触に
「ひっ」と小さい悲鳴を上げる。
「・・・アキラは─、咥えてくれたか?」
耳に緒方の息がかかる。

この人は塔矢と違う。大人の男だ。
身動きがとれない。



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