やりすぎ☆若゙キンマン〜ヒカルたん純情系〜 9 - 10
(9)
「パトロールをサボってたわりに、ずいぶんと遅いご帰宅じゃねーか」
碁会所へ戻ると、入り口の前にトーマスが仁王立ちして待っていた。
ヒカルたんは思わず若゙キンマンの後ろに隠れる。
それを見たトーマスはさらに怒鳴り散らした。
「ヒカルたん! おまえ、いくら平和になったからってヒーローとしての仕事を怠ってい
いと思ってんのか」
若゙キンマンの後ろから引っ張り出そうとヒカルたんに手を伸ばした。しかしそれを若゙キ
ンマンが阻む。
「ボクのヒカルたんに、そんな汚らわしい手でさわらないでくれないか」
若゙キンマンはマントの中へヒカルたんを抱き寄せた。ヒカルたんは怯えた表情で抱きつく。
「け…汚らわしいだとー!」
トーマスは怒りでふるえた。マントの中にヒカルたんさえいなければ、殴りかかってもお
かしくないくらいの勢いだ。
しかし若゙キンマンはトーマスに目もくれず、腕の中のヒカルたんといちゃいちゃしだした。
存在を忘れ去られたトーマスは、二人の間を引き裂こうと飛びかかる。
ヒカルたんをお姫様抱っこした若゙キンマンは、宙に浮かんで難なくそれを避けた。
「すげ〜! さすが若゙キンマン」
ヒカルたんは拍手をして喜んだ。若゙キンマンはご褒美にとヒカルたんにキスをせがむ。
「もう、甘えん坊なんだから」
頬をふくらませながらそう言うと、トーマスの存在を忘れてヒカルたんはキスをした。
再び存在を忘れ去られたトーマスは、二人のキスシーンを愕然と眺める。
「いつまでも指をくわえて見るな、この負け犬! ヒカルたんはとても疲れているんだ。
そろそろそこをどいてもらおうか」
ジッと羨ましそうにこちらを見つめるトーマスに若゙キンマンは不遜げに言った。
「サボってたくせに、何で疲れんだよ!」
トーマスも負けじと反論する。すると若゙キンマンは口元をニヤリとさせて笑った。
「負け犬は負け犬らしく、無い頭使って必死に妄想でもしてろ」
そう言うとトーマスの頭上を飛び越えて、碁会所の中へ消えていった。
(10)
「若゙キンマンってさ、トーマスのこと嫌いじゃないだろ」
「何を言ってるんだ? キミに手を出そうとしてるあんな野蛮な輩をボクが好むわけない
だろう」
そう言う若゙キンマンをヒカルたんは見つめる。
「でもすごく楽しそうに見えるんだけどな。ホラ、オレ達って一緒にいる時いつもエッチ
なことしかしてねーじゃん。オレもトーマスみたいに若゙キンマンと何でも言い合える仲に
なりたいっていうか…」
「どうでもいいだろう、そんなこと。無駄なことに時間を費やすな」
若゙キンマンは冷たく言い放つと、ヒカルたんをおろした。
「ごめん。でもオレ、羨ましくて。オレも若゙キンマンともっと話がしたくて・・・」
怒らせてしまったと思い、ヒカルたんは俯いた。
まるで少女のように嘆く姿を見て、若゙キンマンはため息をついた。
「別に怒ったわけじゃない。あんな負け犬に嫉妬する暇があるなら、もっとボクのことを
見ろと言いたいんだ。ボクはこれでもキミを抱くのを我慢しているほうなんだよ。キミの
体を考えて控えているんだ。それなのにそんな余裕がキミにはあったとはね」
呆れたように言うと、若゙キンマンはヒカルたんに背を向けた。
「待って。ごめん、若゙キンマンの気持ち傷つけちゃって。本当、オレってバカだ…」
ヒカルたんは去ろうとするその背中に飛びついて謝った。
「そんなに悪いと思うのなら、今すぐにでも服を脱いでボクに奉仕をすべきではないか?」
ヒカルたんは戸惑った。ついさっき激しい行為を終えたばかりの体で、若゙キンマンを受け
入れることなど無理に等しかった。
若゙キンマンもそれを承知でわざと厳しい条件をつきつけた。
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