昼下がりの遊戯 9 - 10
(9)
「塔矢…」
本物の宅配業者のが来たことで、
さきほどよりは少し冷静になっていたヒカルだったが
今から起こるであろうアキラとの情事を思うと再び身体の芯が熱くなるのを感じた。
ふと、アキラの目が宅配されて来た箱に貼り付けてあるビニールで覆われた配達紙に止まった。
-----品名 野菜-----
送り主は地方に住む進藤家の親戚で、田舎の畑で収穫した野菜を
都会暮らしの進藤家の為に時々送って来てくれているのだった。
「ふぅん…野菜ね」
床にペタンと座り込み、欲情した瞳で自分を見上げているヒカルをチラリと見てから
その荷物をアキラは勝手に開け始めた。
クッションのつもりであろう、中に詰まっている丸めた新聞紙をどけると、
ぎっしりと詰まっている野菜が現れた。
「プチトマト、きゅうり、ニンジン、なすび…すごいね、
どれも皮が張っていて新鮮だ」
アキラが面白そうに言いながら、野菜をゴソゴソと物色する。
「うん、これがいいかな。ボクのとさほど変わらないし。」
(10)
「塔矢・・・?」
ヒカルにはアキラが何を言っていルのかすぐには理解出来なかった。アキラは手にした
ものをシャツの下に隠すようにして持つと、座り込んでいるヒカルの腕を引っ張った。
「君の部屋へ行こう、ヒカル・・」
アキラは、この後に繰り広げられる行為を頭の中に描いて、普段見られない少し上気した顔で
ヒカルに笑顔を見せた。ヒカルはごくりと息を飲んだ。
なんとなくアキラが恐いと思った。それとは反対にますます体の奥が何かを期待して
熱くなって行く。アキラが、その出口を与えてくれるのだ。
「暑いね・・服・・脱いで、進藤。」
部屋に入るとすぐにアキラはヒカルにそう言った。
「う、うん・・塔矢も脱げよ。」
「ボクは後で・・いいから、さあ、進藤」
アキラに促されてヒカルは上を脱いだ。脱いだ後でカーテンが開いたままなのに気が付いて
慌てて閉める。スウェットのズボンを下ろし、ブリーフに手をかけたとき、さすがに
恥ずかしくなってアキラに背を向けた。
「ダメだよ、進藤・・こっち向いて・・」
「だ、だって・・」
アキラに睨まれるように見つめられて観念してヒカルはアキラの方を向いた。
その時点ですでにその部分が大きく膨らんで、先端の周辺が濡れて半透明になっていた。
「進藤って、濡れ易いんだよね・・」
アキラが手を伸ばして、指でその濡れている部分に触れる。
「あっ・・」
それだけでヒカルはゾクゾクと体を震わせた。
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