○○アタリ道場○○ 9


(9)

「気のせいかな?」
「何がですか?」
「あっ、いやなんでもない。そうだ、アキラくんコレ」
兄貴はプリンを おかっぱに渡す。
「わあ、どうもありがとうございます」
おかっぱの顔がニッコリほころぶ。
「緒方さん、これから夕食を作るんですが、もしよろしかったら一緒に
どうですか?」
「そうだな。たまにはいいかもしれんな」
「じゃあ、決まりですね!」
親密な付き合いのある人物にしか見せない、屈託のない笑顔を おかっぱ
は兄貴に向ける。
おかっぱは兄貴を居間に通すと、再び台所に行く。しばらく居間に座る
兄貴だが、おかっぱにだけ料理をさせる訳にはいかないだろうと思い、
腰を上げ台所に足を運ぶ。しかし、目の前に異様な光景が映った。
そこには白の割烹着を着て頭に同じく白の三角巾をし、そそくさと家事に
いそしむ おかっぱの姿があった。
兄貴の背広は肩下に下がり、メガネはズルッと横にすべる。
「ア・・・、アキラくんっ、その格好はいったいどうしたんだっ??」
「どうしたって何がですが?」
何事もないように平然と振舞うおかっぱに対し兄貴は、急いでくずれた
背広を正し、ズレたメガネを手で直す。



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