誘惑 第三部 9


(9)
玄関にアキラが待っている。
ヒカルが靴を履こうとすると、スペースを空ける為に、すっとアキラの身体が動いた。
その動きに、ヒカルが一瞬止まった。止まってアキラを見る。アキラの目が何かもの言いたげに
自分を見ている気がする。忘れる事なんて、できるはずがなかった。この黒い瞳を。真っ直ぐな
眼差しを。
一瞬、ここがどこであるか、今がどういう状況なのかを忘れて、いつものように――以前のように、
彼を引き寄せて、唇を重ねてしまいそうになった。
だがヒカルが腕を伸ばした瞬間に、アキラが視線をそらせたので、ヒカルは行き場を失った手を
ぎゅっと握り締めて、そして自分もアキラから視線をはずして、スニーカーの紐を結び直した。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!