sai包囲網 9


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「な、何が言いたいんだよ?」
 思わず身構えたヒカルに、アキラはふっと表情を和らげた。まるで出
来の悪い子供に向けるようなしょうがないなという眼差しが、ヒカルは
居心地が悪くて仕方がない。
「あのときボクは、saiのことはもういいと思って、あれ以上調べる
ことはしなかったけど。今からでも遅くはないよ」
「調べるって、何を?」
「そうだな。最初はやっぱりあのネットカフェからかな。君があそこを
利用した日にちと時間、saiがネット上に現れた時間を照らし合わせ
てみたら、おもしろいことが分かるかも知れないね。それに、従業員や
客の誰かが君がネット碁をやってるところを見ていた可能性もあるね」
 言われてすぐに思い浮かんだのは、三谷の姉だった。彼女がまだあの
インターネットカフェでアルバイトをしているかどうかは分からないが、
パソコンの使えないヒカルに代わって、二度チャットに書き込みをした
のは他ならぬ彼女だ。一見の客ならともかく、足繁く通ってきた弟の友
達を覚えてる可能性が高い。
 当時の葉瀬中囲碁部のメンバー。筒井と三谷、そしてあかりもヒカル
がネット碁に嵌まっていたことを知っている。おまけにヒカルはそのこ
とを口止めも何もしていないのだから、彼が本気で調べる気になったら、
saiと自分の接点を簡単に見つけられてしまうかも知れない。
 ヒカルは身体の脇に垂らした両手をぎゅっと握り締めた。
「例え、俺がネット碁をやってたとしても、そんなこと。塔矢には関係
ないだろ!」



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