禁断の章 9


(9)
加賀はヒカルの寝顔を眺めていた。
だいぶ落ち着いたらしい。まったく世話がやける。
今日は、葉瀬中将棋部の連中と一緒にカラオケに興じていた。
久しぶりに逢う連中、未成年だが酒も注文してアルコールに
酔いはやりの歌を歌いまくりどんちゃん騒ぎで楽しいひとときを
過ごす。
もう一軒いこうという仲間達を制し意気揚々と自宅に戻る途中。
甲高い声とバタバタと走る足音を耳にした。
「おいおい今何時だと思ってるんだよ」
加賀は興味なかったが、まさか女が襲われてるんじゃないかと思い直し
声のするほうへ足を向けた。
見ると20代前半と後半らしき男が5・6人、小柄な女を取り囲んでいた。
「おいおいビンゴかよ・・やれやれ」
加賀はため息をつくとその集団に近づいていった。
リーダー格の男・たけしは目の前の獲物に興奮していた。
かなりの上玉だ。駅で見つけ人気がなくなる場所になるまで
相手に気づかれないように仲間と共につけてきた。
だが、途中気づかれ逃げられそうになる。
かなり足が速い奴だったが追いつめてやった。
仲間に合図し襲いかかる。
数人で押さえつけパーカーをめくった。シャツを胸までひっぱりあげる。
でもそこには、思い描いた胸の膨らみは現れなかった。
「お・おいこいつ男だぜ」仲間の一人が叫んだ。
「女じゃないのか・・がっくりだな」仲間達は、
思わぬ正体にがっくりと肩を落とした。
だが、オレはショックを特に受けなかった。それはあいつの目を
見て男の加虐心を刺激させられたからかもしれない。
少女を思わせるその小柄な男は、下からオレ達の顔を凝視していたが
押さえつけていた手がなくなると素早く身体を起こし逃げた。
オレは「男でもいいじゃん!やろうぜ」といった。
でも・・よう。男なんて・・・やったことねえしという声に、
「入れるとこが、違うだけだろ」と突っ込んで、その男を追いかけさせた。
ここはオレ達のたまり場だ。逃げるなんて不可能だぜ。
ぞくぞくという快感が体の中を駆けめぐった。
そしてついに袋小路まで追いつめられる。
加賀は取り囲まれている人物に悟られないようそろっと
近づいた。
女と思っていた人物は、オレがよく知っている後輩・・進藤ヒカルだった。



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