少年サイダー、夏カシム 9
(9)
頬を赤くし、うっすらと濡れた瞳でこちらを見つめ、熱い吐息に混ぜながら自分の名を呼ぶヒカル。それはまるでヒカルが自分を受け入れてくれたかのような錯覚に陥った。
和谷の理性の糸はついに音をたてて切れた。和谷はヒカルのジャージや下着を力任せに剥ぎ取った。ヒカルの全てが露になる。
窓から差し込む控えめな午後の光りに照らされて、白く華奢なヒカルの体を無数の汗が光り輝いているように飾りたてる。
和谷はその姿を隅々まで見つめると、唾をゴクリと飲み込んだ。そしてまるで暴走した機関車のように、ヒカルの体にむしゃぶりついた。
ヒカルは抵抗することも声をあげることもできず、和谷のされるがままになった。
体のあちこちを舐め回され、時には噛み付かる。その気持ち悪さと恥ずかしさで、和谷を殴ってやりたい気分だった。しかし今の自分にはそんな力など全く無い。
ヒカルは和谷に裏切られたという思いから、涙を流すことしかできない。しかし和谷はそのかすかなヒカルの抵抗すらも飲み干してしまう。
「なあ、泣くほどいいのか?」
和谷はヒカルの顔を覗き込む。その言葉に腹を立てたヒカルは、和谷を殴ろうと手をあげた。しかしいとも簡単にその手をベッドへ押しつけられる。
「なあ、もう一度オレの名前を言えよ」
和谷はもう一度、あの艶のある声で自分の名前を呼んでもらいたくて、ヒカルにせがんだ。
ヒカルは怒りのあまり眉間にしわをよせ、苦しそうに息をしながら、隙あらば抵抗しようと和谷を睨んだ。
そんなつれない態度に痺れを切らした和谷は、今までわざと避けていたヒカルの下腹部に手を伸ばした。
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