初めての体験 Aside 番外・ホワイトデー 9


(9)
 写真を送ってきただけにしては、大きすぎる荷物をドキドキしながら、ほどいていった。
予想通り中には、封筒が入っていた。
 封筒の中には、社のリクエストした写真と手紙が入っていた。
「あ、あ、やっぱ、メチャかわいい〜〜〜〜〜〜〜!」
社の送ったパーカーはヒカルにとてもよく似合っていた。ヒカルは、それを着たところ数枚と
約束通り、小さい頃の写真を一枚送ってくれた。小さい頃のヒカルはやっぱり小さくて、
頬をつつきたくなるほど愛くるしかった。
 社は、その写真と、オレンジ色のパーカーを着て笑うヒカルの写真をそっと定期入れに
忍ばせた。
「コレで、いつでも進藤と一緒や…今日はいい夢が見れそうや………」
ほうっと幸せの溜息を吐きながら、荷物を片づけようとして、中にまだ何かが入っているのを
発見した。
 そう言えば、手紙にクッキーを一緒に送ると書いてあった。写真があまりに嬉しくて
そっちの方を見過ごしていた。
「もう、オレのアホ!せっかくの進藤の手作りクッキーやのに………」
にやつきながら、フタを開けた。
「…………………………焦げとらへん……」
何故かきゅんと切ない胸に戸惑う社清春、高校一年。まだ肌寒い春の日の出来事であった。

終わり



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