やりすぎ☆若゙キンマン〜ヒカルたん小悪魔系〜 9
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「おまえは本当にバカだな。言っただろ、オレを怒らすなって」
トーマスは自分のモノを抜き取ると、脱ぎ捨てた自分の衣服のポケットから小瓶を出した。
「これ、アイツの城で見つけたんだ。けど本当はこんなもん使いたくなかった。使ったと
ころで、それが本当の恋になるわけじゃないって思ってたから」
ヒカルたんは不安になる。その小瓶は初めて若゙キンマンの城に行ったときに飲まされた薬
とよく似ていたからだ。
「オレは自力でおまえをふりむかせるつもりだった。でもよくよく考えれば、アイツもこ
ういった汚い手を使ってたんだよな。だったらオレも使うさ。それでおまえがオレのもの
になるなら」
ヒカルたんは逃げようとした。それは薬の威力がどれだけのものか、身をもって知ってい
たからだ。だがトーマスはヒカルたんの上に馬乗りになると口を強引にこじ開け、ビンの
ふたを開けて流し込んだ。口を押さえられ、吐き出せないようにされる。
息苦しくなったヒカルたんは、酸素を求めてつい飲み込んでしまった。するとあの時と同
じように食道が焼けるように熱くなった。そして体がだんだんと火照るのを感じる。ただ
一つ違うところがあった。それは頭がぼーっとして、まるで眠りにつく寸前のように体が
動かなくなったのだ。
トーマスはゆっくりと何度も耳元でささやき始めた。
「おまえが世界で一番愛しているのは、このオレだ」
真っ白になった頭の中にその言葉だけが響き渡る。そして何度も繰り返されるうちに、ヒ
カルたんの意識は次第に侵食されていった。
呆然と目を見開き、トーマスの言葉を繰り返しつぶやくようになったヒカルたんを見て、
トーマスは笑った。
「ヒカルたん、おまえが世界で一番愛しているのは?」
視点が定まらないヒカルたんの目を見つめ、トーマスは問うた。
ヒカルたんはゆっくりとトーマスを見上げる。そして片手でトーマスの頬をなでた。
「トーマス、…大好きトーマス」
ヒカルたんはそう言うと笑顔で抱きついた。
「良くできました」
トーマスはヒカルたんの髪をなでると、ご褒美でもあげるようにキスをした。
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