社妄想(仮) 9


(9)
乱暴に捲り上げられるそれが胸の突起を強く擦り、ヒカルは息を飲む。
そして、次に来るであろう刺激に目をぎゅっと瞑り身を堅くした。
だが、それはなかなか来ない。
ヒカルが恐る恐る目を開けると、社がじっとヒカルの身体を見ていた。
だがそれは嘗めまわすような、と形容するよりはむしろ、子供が初めて見るものを
珍しげに観察するような、そんな視線だった。
酷い事をされていると解っているのに、ヒカルは何故か社を憎めなかった。
それは社の目が、不思議と曇っていない所為かも知れなかった。
声を掛けてきた瞬間から、社の人格が豹変したとは思えない。
怖いと思うのは、彼が隠していた醜さや卑しさを突然露にしたからじゃなく、
それまでと何の変化もなくヒカルに触れてきたからだ。
幼い、いとけない子供が、知らずに残酷な事をしているような────。
ヒカルの顔から血の気が引いた。
そういうのが一番タチが悪いんじゃないか? ──そう気付いたからだ。
ふと見上げると社と目が合った。
彼の表情が微かに変化したと思った次の瞬間、ヒカルの視界いっぱいに社が広がった。
社のキスは優しい。優しくされていると思う。
腕を縛られたり、薬を盛られてもそう感じるのは社の目が、与えられる愛撫が優しいから。
力加減が解らないで酷くしてしまう、そんな印象がどうしても拭えないから。
だが下半身の疼きが同調するように酷くなるのは、もう耐えられない。
彼の愛撫がどんな意味を持つにしても、自分はこの行為を受け入れたくないのだ。
ヒカルは淋しそうに眉を顰め、もう一度目を閉じた。



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