Linkage 93 - 94


(93)
 緒方もそんなアキラを押さえ込む気はもはやない。
背中に片手を廻して抱き寄せると、アキラの歯列を割って舌先を滑り込ませた。
「……んっ……ふ…………んンッ!」
 絡め取ったアキラの舌の熱さは昨夜となんら遜色なく、その感触に緒方の
行為は徐々にエスカレートしていった。
互いの濡れた舌が絡まる音が室内に響く中、アキラの手は無意識のうちに
緒方の背中に回る。
(やれやれ……昨夜はどこまでが薬の効果だったんだい、アキラ君?)
 あまりにも素直なアキラの反応に、緒方はこみ上げてくる笑いを抑えきれ
なかった。
絡めていた舌を離すと、両手でアキラの頬を包み、互いの唇が触れるか触れ
ないかの距離で固定する。
「クックック。それがキミの本質なんだよ。オレの理性を吹き飛ばす、アキラ君の
本性ってヤツさ」
 そう言い様、緒方は再び唇を重ね、更に激しくアキラの口腔内を攻め立てる。
アキラは抵抗の意思表示をしようと、背中に回した手で緒方のシャツを精一杯
掴んだが、緒方にとってそれは抑圧された獣欲を解放するゴーサインの意味しか
持ち得なかった。


(94)
 制服のズボンは、細身のアキラにとって幅にかなりゆとりがあるものだった。
緒方はその裾からアキラの太股に片手を滑り込ませ、もう片方の手でスタンドカラーのジャケットの
ボタンを器用に外していく。
ジャケットの前を開け、下に着た薄く柔らかな海島綿のハイネックニットを力任せに捲り上げると、
そこかしこに昨晩の愛撫の痕跡を残す胸に唇を這わせた。
 太股と脇腹を執拗に掌でまさぐり、肌理細かく滑らかなアキラの肌の感触を存分に堪能しながら、
緒方はふと思う。
(……女とは明らかに違うな)
 昨晩もそう感じた。
薬の効果もあり、今より多少熱っぽく、汗で湿った肌ではあったが、女の肌特有のねっとりとした
感触とは明らかに異なるものだった。
(女の場合、肌というより肉の感触だ)
 緒方にとって、女とのセックスは単なる性欲解消の手段でしかない。
セックスにのめり込みはしても特定の女に執着したことなどなく、女の身体はセックスに供される
肉塊としか見なしていなかった。
まとわりつくようなしつこさを感じさせる女の皮膚は、その下に広がる脂肪の感触を彷彿とさせず
にはいられない。
痩身ながらも精悍な肉体を持つ緒方からすれば、セックスの最中、そんな女の身体に嫌悪感すら
抱くことも度々だった。
 だが、今抱いているアキラはそんな女達とは違う。
華奢ではあるが均整の取れた骨格、成長期のしなやかな筋肉を覆う薄い皮膚の透き通るほどに
繊細な白さ……。
(蠱惑的とはこういうことか……)
 改めて感心しながら、太股に這わせていた手を股間へと伸ばす。
そこには下着越しに熱を伝える猛り狂ったアキラのペニスがあった。



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