Linkage 99 - 100


(99)
 指の動きはそのままに、解放を求めるアキラ切なげな表情を下から覗き込むと、緒方は冷たくそう言った。
「止めてほしいのか、それともイカせてほしいのか、はっきり意思表示をしてほしいんだが……」
 薄く笑いながら尋ねる緒方を潤んだ瞳で見つめていたアキラだったが、ふと顔を横に逸らせ、観念した
ように口を開いた。
「……こんな…ところで……止めないで………」
「……随分とまた迂遠な表現を使ったものだな。ストレートに『イカせてくれ』じゃ、アキラ君のプライドが
許さないわけか……」
 半ば呆れつつも感心した様子で緒方はそう呟くと、絶頂の瞬間を待ち焦がれて天を突くアキラのペニスを
口に含み込む。
「あ…ンッ……アァッ!!」
アヌスに添えた指先を僅かに食い込ませながら、陰茎を唇で扱き上げると、アキラは鼻にかかった嬌声を
上げて緒方の口腔内に解き放った。
だが、射精後のアキラが脱力しきった隙を見計らって、緒方が指先をアヌスの奥深くへ進めようとした瞬間、
アキラの腰が跳ね上がる。
「ヤダッ!!……止め…て…」
 絶頂の後に訪れた倦怠感が激痛へと一変し、アキラは恐怖に身を震わせた。
昨晩の行為で出血こそ無かったが、アキラの繊細な粘膜が受けた損傷がそう軽いものでないことは、
緒方にも容易に想像がつく。
今、これ以上の行為に及べば、裂傷による出血はまず避けられないだろう。
(ワセリンを使ったとしても、昨日の今日ではさすがにな……)
 緒方は口腔内の精液を飲み下すと、慎重にアキラの中から指を引き抜いた。
「オレも図に乗りすぎたな。これで終わりにしておくか……」
 アキラから身を離し、テーブルの縁に背を預けると、緒方はそう言って頭を掻いた。


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 緒方とすれば、これで収まりがつくはずもない。
だが、このままアキラを蹂躙することに、緒方は一抹の不安を抱いていた。
(このまま無理強いしても、やはりアキラ君はオレを責めないだろう。いっそ口汚く罵ってくれればいいんだ。
これでまた健気に振る舞われたりしたら……)
 震えるアキラの両脚を閉じてやると、周辺に散らばるアキラの服をまとめ、膝の上に置いてやる。
「そろそろ帰った方がいいだろう。オレが送るから……」
 優しく語りかけて立ち上がる緒方に、アキラは小さく頷いた。
「……ごめんなさい……」
「……なんでそうなる?謝るべきはオレじゃないのか?」
 緒方は困り果てた表情でアキラの顔を覗き込むと、艶やかな黒髪を撫でた。
「早く服を着ろよ」
「……でも……」
「『もう』の次は『でも』か。……で、『でも』なんだ?」
 苦笑しながらそう尋ねる緒方の瞳をアキラはじっと見据える。
「……緒方さん……、このままだと困るんじゃ……」
「……困る!?」
「……緒方さんのが………このままだと……」
 そう言うや否や真っ赤になって俯いたアキラに、緒方は思わず天井を見上げた。
アキラの指摘は間違ってはいない。
収拾のつかない緒方の下半身は、未だ十分過ぎるほどに滾っており、焦げ茶のスラックスは股間部分が
不自然な形状に隆起していた。
大きく息を吐き出すと、緒方は仕方なくアキラの横に腰掛けた。



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