「のっぶながぁーv」

ババタバタバタバタバタバタ・・・・・・・・

「あーっ、もぉっ、付いてくんなバカグラ〜〜〜」

今は2005年。一月。此処は桜峰学園。・・・・の中等部の二年の廊下。

『のぶなが』と呼ばれたヤツは織田信長。二年F組四番織田家の次男。

『バカグラ』と呼ばれたヤツは悠神楽。二年F組15番悠家の長男だが、姉一人に妹二人。信長の隣の席。

「何で付いてくんだよお前はぁ?!」

「そんなの、信長が好きだからに決まってるじゃないかぁ〜!」

「だあああああああっっっっっ」

よっぽど嫌だったのだろう。ただでさえ速く走っていたのに、更にその足の回転速度を速める。

「待ってってば〜、の〜ぶ〜な〜がぁ〜!!」

何とも迷惑な叫び声をあげながら、信長になんとしてでもついていこうと、神楽もまた加速する。

バタバタと走り回る彼ら、信長も神楽に追いかけられているうちに自分がどこに行きたいのかすっかり忘れてしまっているようだ。実際、二年のフロアを何周もしている。

しかも、どこか楽しそうにすら見える。しかし、二人は知らない。これから彼らに降りかかる災難を。

「おい!お前ら何やってんだよ!!」

野太い声。瞬間、ザワザワとした話し声はピタリと止み、二人の動きも片足を浮かせたまま止まっている。

「何やってるんだっつってんだよ!!」

再び野太い声がフロア中に響いた。静かすぎるほど静かで、微かに「シーン」という音さえ聞こえる。そしてその声の主がのしのしと二人に歩みよる声からモロに想像できる図体。そう、体育教師だ。

「にげろっ!」

どちらが言ったのかは解らないが、二人は同時に走りだす。当然「奴」も追いかけてくるが、流石に現役高校生には追いつかない。その差はどんどん広がっていき、とうとう二人を見失ってしまった。

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「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・」理科室から荒い息使いが聞こえる。まぁ、フロアを(推定)26周もした後に体育教師との鬼ごっこをしたのだから当たり前と言えば当たり前だが。

「っはー。うっぜー。【ウサ坊】のくせに」

「はは。ちょっとキツかったな。流石に。宇佐見先生も元気だねぇ。」

「あー。だなー。奥さんかわいそうだぜ。あんなのに上に乗っかって動かれたら」

「・・・・・・・・・・・つぶれそう」

―――――――――プッ

「「あははははははは」」

一瞬静まった理科室内に大きな笑い声が響く。

「ソレサイコー!確かにつぶれるわなぁ!あんなんじゃ!」

「そうそう!奥さん細い美人だって言うし!でも子供三人いるんだよねー!」

「うえっ!?マジ?!よっくやるよなァ。尊敬するぜ。【ウサ坊】の奥さん」

「うん。俺も。ところで信長???」

神楽の何かをたくらんだときの声を聞き、ギクリと信長は振り返る。

「な、何だ?悠」

「やだなぁ、信長ってば。神楽って呼んでっていっつも言ってるじゃない」

信長に詰め寄りながら満面の笑みで言う神楽。怖いったらありゃしない。

―――――――――ガタガタガタッ

「てめっほどけぇっ!!」

一瞬の間に信長の手は万歳をするように括り上げられていた。

「ほどく訳無いじゃん」

サラリと言いながら猿ぐつわまでかませる神楽に信長は為すすべもない。ただただモゴモゴと言うばかりである。

「あv」






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