■五限目

たららったたったったー たららったたったったー たららったたったったったたったった〜
(見えなくてもキュー●ー三分クッキングのテーマ)

不二「皆様こんにちは。『教えて! 大和部長!!』五限目です。
今回は質問の内容上、特別編と称して家庭科室からお送りしております。
なお、アシスタントは不二(一年)と」
(ピンクのフリルつき、胸の部分がハートのエプロンをまとった一年不二、引きつる笑顔で登場)

菊丸(一年)「菊丸(一年)で〜す!!」
(菊丸、猫プリントのエプロンで登場)

菊丸「……いやー、頼んだかいがあったにゃー……しかも家庭科だもん。
ついてるよ俺ー。だって大和部長の料理って、すっげー上手じゃん!?」
不二「……まあ、それは認めるけど……」
(うきうきしている菊丸に、半眼で答える不二。指先でエプロンを弄んでいる。どうも気に入らない様子)

菊丸「今日は何をご馳走してくれるのかにゃ〜。楽しみ楽しみ〜〜。
……でも、なんで俺たち、一年バージョンな訳?」
(菊丸の素朴な疑問に、大和@割烹着+三角巾姿ひょっこり登場)

大和「それは僕が直接お答えしましょう。一年バージョンの方が僕好みで可愛いからです。
それにほら、僕ショタコンでロリコンですから……身長160cm以上あるとあんまり勃たないんですよ」
(息を荒くしながら、堂々と答える大和)

菊丸「うわー……さすが大和部長。人前じゃなかなか言えないこともはっきり言うにゃー……」
不二「……人としてどうかと思うけどね」
大和「いやあ、そんなに誉めないでくださいよ……」
不二「誉めてません!!」

不二「大体なんですか? その割烹着と三角巾は!? 犯罪スレスレ、猥褻物陳列罪ですよ!?
それに、どーして僕のエプロンはピンクでフリルでリボンでハートでこんなに新妻使用なんですか!?
エージは普通のエプロンなのに……」

大和「割烹着は僕の戦闘着ですよ!? これでキッチンと言う闘技場に立ち包丁という武器を握るんです!!
料理はすなわち格闘、それが『中華●番!』で学んだことです……
いやあ、あの漫画はすごかった……アニメもやってましたけどね」

菊丸「あ、それ知ってる〜!! 『北斗の拳』と料理漫画にしたよーな話でしょ?
料理漫画なのに七星剣とか出て来るんだもんなあ……」
(漫画話で盛り上がりかける二人。心なしかげっそりしている不二)

不二「……アニメにそんなに影響受けないで下さい……つーかあれ、中華だから割烹着なんて出てなかったのに……
で、僕のエプロンはどうしてなんです?」
(投げやり気味に尋ねる不二)

大和「あ、いつか、男のロマン108個のうちの一つ、裸エ……もぐっ」
不二「解りました。聞いた僕が馬鹿でした。それ以上口にしたら今度こそ刺します」
(手元にあったおたまを大和の口の中に突っ込みながら、右の包丁をきらめかせる不二)

菊丸「ねーねー、いーかげん料理始めなくていいんですかぶちょー?」
(菊丸の声に、大和、口からおたまを取り外しながら)

大和「わかりました菊丸君。さて、アシスタントのラブリーキャッツ(大和命名)の漫才もすんだところで、
今日の質問に入りましょうか……」
不二「そんな恥ずかしい名前で呼ばないで下さい!!! 何勝手に決めてるんですかー!?
ていうか漫才コンビなんですか僕等!?」
大和「それじゃ今日の質問、菊丸君、お願いしますね〜」
(不二に突っ込まれるのが楽しくて仕方ない様子の大和、調子よく質問に移る)

菊丸「んじゃ俺が読むよ〜ん。キャベスさんからのしっつもーん!!」


Q「よくキャベツとレタスを間違えて料理してしまい、家族に嫌味を言われています。
どうすれば間違えなくなるでしょうか?教えて!大和部長!!」

菊丸「あーこれ、俺もやったことあるー!! 
キャベツだと思って千切りにしたら姉ちゃんにスッゲー馬鹿にされたんだよな〜。
『全然違うでしょ!? 信じられない』って……でも、だって両方とも丸いじゃん、ねー」
不二「……レタスの千切りって……フツーそこで気がつくんじゃ……」

大和「おや、菊丸君は料理の手伝いをしているのですか? 偉いですねえ……」
菊丸「うん、うち、兄弟五人いるし、大家族だからさ〜、朝御飯なんて当番制なんだよね。
だから卵料理なんかは自慢なんだぜ〜、大和部長も今度食べる?」
大和「五人もいるんですか、それは随分にぎやかですねえ。卵料理は是非。楽しみにしてますよ」
でも、今日はまず、質問に答えてしまいましょう」
菊丸「は〜い!!」
(かなり仲のいい大和と菊丸。対して一人でしかめっ面で準備をしている不二)

不二「ではこちらに用意しました、右から寒玉キャベツ、春玉キャベツ、丸玉のグリーンボール、
そして所謂レタスとサラダ菜です」
(とりあえずアシスタントに徹する不二)

菊丸「へ〜、キャベツにもこんなに種類があるんだ〜。……あれ? サラダ菜?」

大和「サラダ菜は玉レタスの一種なんですよ。
レタスにはステムレタス、コスレタス、リーフレタス、玉レタスの四つの種類があります。
ステムレタスは茎を食べるもの、コスレタスは白菜のような形の葉っぱが立っているレタス、あと、リーフレタスではサニーレタスが有名ですね。
そして、玉レタスには、堅い球になるクリスプヘッド型と、ゆるい球になるバターヘッド型とがあります。
日本では前者をレタス、後者をサラダ菜と呼んで区別しているんですね。」
(レタス片手に説明にする大和)

菊丸「へ〜!! 知らなかった〜!! んじゃこの、グリーンボールって言うのは?」

大和「キャベツの一品種です。見た目どおり、丸玉と言うんですけどね。小ぶりで、葉の中まで緑色をしています。
あと、寒玉はよく見かける一般的なキャベツですね。
春玉は内部まで黄緑色を帯びていて、葉が柔らかで、生食としては最高です。
寒玉は扁平な形ですが、春玉はやや丸めになってます……」

菊丸「へ〜へ〜!! そーなんだ〜!!」
大和「……菊丸君は説明しがいがありますねえ……不二君もこれぐらい、可愛げがあってくれれば……」

不二「で、見分け方ですが……」
(不二、大和の嘆きは無視して、話を進めようとする)

大和「う〜ん、寒玉キャベツと玉レタスは解りやすいと思うんですが……
色も形も、だいぶ違いますからねえ……キャベツの方が大きいし、色は薄いんですし。
でも、グリーンボールと玉レタスだとちょっと、見分けつかないかもしれませんね」
(大和、キャベツとレタスを手にとりながら、首を捻る)

大和「だから最終手段です。花を咲かせましょう」
(サングラスを逆光で光らせながら、そう答える)

不二&菊丸「え?」
(二人、並んで目を丸くする)

大和「花ですよ、お花。キャベツはアブラナ科ですが、レタスはキク科なんです。
レタスの花って、黄色の小さな菊みたいなお花なんですよ。
だから、花が咲くまで根気よく育てれば一発でどっちがどっちだか解る……と」

不二「……そんな悠長な事してられますか!!!」
(不二、おたまで大和の頭を撲る)

大和「いたたた……」
不二「だいたい、市販のキャベツとレタスにどーやって花を咲かせるって言うんですか……」
(大和の方をじろりと睨みつける)

大和「いや、だから、市販じゃなくて、家庭農園作って自家栽培を……」
不二「だから気の長い話に持っていかないでください!」
大和「ええ!? うちやってますよ無農薬野菜!? 今日の野菜たちだって自家製ですよ!!」
不二「……道楽で家庭農園作るようなブルジョワと一緒にしないでください!!」
(不二、激昂)

大和「……なんとなくその台詞、不二君に言われたくないですねえ……。にしてもブルジョワって……」

菊丸「はー……大和部長んち、野菜作ってるんだ……すっげ〜!!」
大和「あ、はい。プランターで簡単に作れるのから始めてみたら、意外と奥が深くって……
愛情込めて作った野菜はやっぱり全然味が違いますねえ……」
菊丸「うわー、いいないいな〜!! 早く食べてみて〜!!!」
(菊丸、目をキラキラさせて期待しながら大和を見る)

大和「そうですね、答えも出たところで、調理に移りましょうか」
菊丸「わーい!!」
(はしゃぐ菊丸。割烹着の帯を締めなおす大和。そんな二人をげっそりした表情で見つめる不二)

不二「……それが結論でいいんですか?
レタスの方が色が濃い、とか……ちょっとだけ食べて味や歯ごたえを確認してみる、とか……
あと。どっちかと言えば、レタスの方が葉がゆるく巻いてる気がするんだけど……」
(そろそろ突っ込み疲れてきた様子)

A.「花を咲かせましょう」


大和「えーと、じゃあせっかく用意したところで、僕の愛情こもった自家製無農薬野菜で、簡単な料理を作りましょう〜
ただし、五限目だけなんで、手っ取り早い料理にしてみました。
ではまず、キャベツのスープ煮です」
(大和の合図で、不二、フリップを出す)

不二「材料は四人分です。キャベツ1個にウィンナー8本、コンソメ1個、ワイン少々、ロリエ、
そして調味料に塩、こしょうを用意してください」

大和「まずは耐熱皿に水2カップとコンソメ、8つ割りにしたキャベツを入れ、さらにロリエとワインを入れます。
そのままレンジで加熱します。キャベツが軟らかくなったらウィンナーを入れて、さらに加熱してください。
時間の目安は……全体で10分程度ですかね」
(大和、手際よく作業を進め、レンジに耐熱皿を入れてスイッチオン)

大和「加熱している間に、次の料理を作りましょう。ツナ缶とレタスの炒めものです……」
(菊丸、大和の合図を待たずに、さっさとフリップを取り出す)

菊丸「こっちは俺が担当ー!
材料は四人分で、レタスの外葉4枚にー、ツナ1缶にー、塩こしょう! ……これだけ?」

大和「ええ、それだけです。
フライパンにツナ缶を入れて炒め、次に一口大にちぎったレタスを入れて炒め、塩、こしょうしてください。
レタスは包丁で切るよりも、手でちぎった方が美味しく食べられますよ」
(レタスをちぎろうとする大和、それを手伝おうとする菊丸)

大和「あ、菊丸君、ありがとうございますね。じゃ、僕、キャベツの方を……」
菊丸「ほ〜い! おっまかせ〜!! いためるのも俺がやっとくよ〜ん」

不二「……レンジで加熱ぐらいしときましたよ。途中でウィンナーも入れました。これでいいんですか?」
(不二、耐熱皿を取り出す)

大和「あ……はい……」
(仕事がなくなって手持ち無沙汰な大和)

菊丸「残念無念まった来週〜っと」
(菊丸、調子よくフライパンを揺すって炒め物も完了)

不二「エージ、さすがに慣れてるねえ」
菊丸「そーだろそーだろ!? ふふふ、完成〜!!」
不二「こっちも出来たよ」
菊丸「よーし、じゃあ試食だ〜〜!!!」

大和「……出来ましたね、僕何もしてないんですが……」
(不二と菊丸が仲良くし始めて、今度は大和が疎外感を味わう事に)

不二「……ちなみに、今回の参考サイトはこちら、「野菜供給安定基金」の野菜図鑑になります。
野菜図鑑1「キャベツ」と野菜図鑑2「レタス」、野菜の料理法を参考にさせていただきました」

大和「……管理人、普段料理しませんからねえ……。
主婦の皆さん、ご意見やツッコミなど、おいおいお待ちしております〜」
(そうこうしているうちに、三人分のお皿がテーブルに並ぶ)

大和「さあ、僕の愛情、どんどん可愛いお口で食べちゃってください〜」
菊丸「いっただきま〜す!!」
不二「(そういう言い方されると食欲無くすんだけど……)いただきます」
(大和を囲むようにしながら不二と菊丸が座り、試食会開始)

菊丸「んー、キャベツおいしい〜!!」
大和「レタスも食べてくださいね〜」
菊丸「んー、こっちも単純な割においしいにゃ〜」
不二「…………(まあ確かに、美味しい事は美味しいんだけど……)」
(誉めるのも癪なのでとりあえず黙っておく不二)

大和「不二君、ちゃんと食べてますかー?」
不二「……まあ」
大和「あれ? キャベツやレタスはあんまり好きじゃありませんでした?
んじゃ今度は……きゅうりとかなすとかどうでしょう? 不二君のために、極太のを用意してるんですけど……」
(大和、不二の顔を覗き込むようにしながら、意味ありげにささやく)

不二「……食事中に何言ってるんですか!!!」
(不二、肘鉄を思いっきり大和のみぞおちに入れる。悶絶してテーブルに倒れこむ大和)

菊丸「ぷはー!! 美味しかった〜!! 部長、ごちそーさまでした〜!! ……あれ? 大和部長?」
不二「ちょっと昼寝の時間だってさ。あと、連絡して終わろう、エージ」
(何事もなかったかのように微笑む不二)

菊丸「ほ〜い。えーと、質問コーナーもそろそろ大詰め!!
九月いっぱい予定でみんなの質問、おまちしてるよーん!!
んじゃ今回の司会は、不二&菊丸のラブリーキャッツでした〜!!」

不二「……エージ、それ、ひょっとして気に入ったの……?」
(目を細める不二)

菊丸「えーだって、漫才コンビみたいでいいじゃん〜! 目指せ吉本! ってにゃ〜!!」
不二「…………」
(エンディングテーマ開始。二人並んで手を振るラブリーキャッツ……)

不二「……どうでもいいけど、『何限目』って言い方してるんなら
エンディングテーマよりもチャイムの方がよかったんじゃ……」
(さりげに、最後にぼそりと正論を呟く不二)


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