不二バースディ予告編
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〜前回(手塚バースディ編)あらすじ〜 10月7日、手塚の誕生日の不二からのプレゼントは「手塚の好きな事」でした。 そして不二の誕生日にはその「お返し」=「不二の好きな事」をさせられるはめになった手塚ですが…… さてどうなることやら。 ★★★ 「………………」 2月28日午後10時、手塚は苦い顔で正座していた。 覚悟はしていた。10月の自分の誕生日から不二が何を言い出すか覚悟はしていたのだ。 そもそも、不二の誕生日は2月29日、今年は存在していない。そういうふうに理屈をつけて誤魔化す事も出来るだろう。逃げ出す事だってやろうと思えば出来ない事はないはずだ。だが、自分の誕生日にしっかりプレゼントをもらっておいて相手には返さないなど、手塚家の家訓に反する。そんな礼儀知らずに育てられた覚えは無い。……例え、それがほとんど無理やり与えられたプレゼントであったとしても。 とにかく、考えれば考えるほど、気が重くなる手塚だった。 「て〜づか、お待たせ〜」 妙にハイテンションな声をあげて、不二は階下から戻ってきた。開いたドアのその先にいた顔には、バックに花でも飛んでいそうな満面の微笑を浮かべている。 そのなんともいえない迫力に手塚は思わず身構えた。 「まさか、手塚が自分から誕生日プレゼントに来てくれるなんて……嬉しいよ、僕」 ……ここ一週間ほど前から無言で視線の圧力を送っておきながらその言い草はどうか、と手塚は思ったが、機嫌のいいときのこの天才に反論しても無駄であった。 「僕との約束……覚えてて、くれたんだね?」 熱く潤んだ目で問い掛けられる。 「……君の気持ち、ありがたく受け取らせてもらうよ」 そう言うと、不二は手塚の首筋に手を伸ばした。 間近で見つめられて、手塚は動けなくなっていた。まるで蛇に睨まれた蛙だ。これから食べられる、という意味でも間違いない。 「……僕のお願い、聞いてくれる?」 「……っ」 手塚は、何も答えられなかった。肯く事もできなければ……否定することもできなかった。 視線を合わせたまま、優しく唇を重ねる。 そしてすぐに顔を離すと、不二は少しはにかみながらこう言った。 「……手塚から、今みたいにキスして」 「……え……?」 手塚は、拍子抜けした声を発した。 『キスして』だって? 「お、おまえ……それだけでいいのか?」 思わずそんな問いかけをしてしまう手塚だった。 「……だって、手塚からキスしてくれたこと一回も無いから。いつも僕からばっかりだし……」 拗ねた口調で不二が言う。 「……解った」 不二は目を瞑ると、やや上向きになって桜色の唇を薄く開いた。手塚は不二の肩に両手を置くと、ぎこちなく不二の唇に自分の唇を近づけた。 (……やはり、綺麗な顔をしているんだな) 不二の顔を見て咄嗟にそんなことを思った手塚は、はっと首を横にふった。そんなことをしている場合ではないのだ。 「……まだ?」 手塚がぼんやりと逡巡している間に、いい加減痺れを切らした不二が問い掛けてきた。 「あ、ああ……すまん」 手塚は意志を固めると、不二と自分の唇をゆっくりと重ねた。 であったはずだが。 「ーーーー!?」 突然、不二は手塚の肩に手を回して身を寄せると、口を開いて手塚の口内に自らの舌を押し込んできた。 そして、その物体をごくり、と思いっきり嚥下した。 「……!! な、何を飲ませた……おまえ……っ」 不二は悪戯のばれた子供のようにぺロリ、と舌を出した。唾液に濡れた舌は赤く妖艶に光っている。キスをねだる先ほどまでの健気な面影はどこにもない。 「君だって……だいたい、予想ついてるんじゃない?」 嫌な予感はしていたのだが。 「……即効性だからね、もう熱くなってきたんじゃない? 身体」 確かに、身体の奥のほうから言い知れぬ熱と疼きを感じる。口に出して言うには憚られる淫靡な感触。 「だって君、こうでもしないと、素直になってくれないでしょ?」 そう言って、不二は再び、顔中に満面の笑みを浮かべた。 ★★★ 裏で続く!! ……こんな感じのお話。思いっきり続くし。 薬ネタ二回目だろ、っていう突っ込みは無しの方向でお願いします。 なんとか身の回りも落ち着いたので更新再開……って初っ端からこれかよ自分。 |