ホープリル。古井戸。
2002/03/23(土) 08:34:52 榊 凛耶
タイトル ふー
「だったらこうしましょう。凛耶とルナ、貴方方は二人で師範さんの元に向かって
薬を取りに行って下さい。そう言うわけでウィリルさん、彼等をもう一度
町に戻して下さい。」
そうコールが告げると俺とルナは海獣の背中に乗って地上を目指した。
海岸から師範の村まではそう遠くない。
幸いにも俺とルナは脚は遅い方ではなかったので全力疾走で師範の家まで行く。
そして、数分後に師範の村へと入ると師範は近くの花屋の主人と話していた。
「…っ…師範!」
「おぉ、凛耶…それとルナじゃないか。そんなに走ってどうしたんだ?」
俺たちは師範の前まで走ってくると荒い息を立てて座り込む。
「緊急、事態…ですっ!」
ルナが切れ切れにそれを言うとイリフだっけ?そいつとカイが瞬時に出てきて事情を話そうとする。
・・・師範、大変!・・・
道場で改めて事情を聞いた師範は申し訳無さそうに言ってくる。
…勿論俺とルナは息が整うまで横になっていたが。
「…カイ、お前は俺の言うことをそのまま地下にいる奴らに伝えるんだ。」
・・・…はい、・・・
「・・・薬は・・・もう此処には残っていない・・・
海を渡らない限り、伝染病に効く薬は今手に入らないのだ
残念ながら、な・・・すまない・・・・」
「余り海を渡る事を勧めたくないのだが・・・一刻を争う時だ。そうは云ってられない・・・
薬は海の向こうの小さな村で手に入る。古井戸の底に有るのだが・・・
其処にモンスターが眠っている。相手は手厳しいぞ・・・・君達の健闘を祈る。
ルナ、凛耶、指導した通りに遣るんだ、いいな・・・」
「はい?」
俺とルナは其処までぼんやりと聞いていると自分の名前が出てきたから師範の方へと向きなおす。
「だから、此処には薬は無いのだ。大陸の小さな村で手に入る」
「えぇ!?そうなの?」
ルナは大分収まったのか急に立ち上がって大声で叫ぶ。
すると師範はカイの方へと向き、
「カイ、お前は急いで伝えて来るんだ。凛耶とルナはこちらで海を渡る準備をさせるから…早く行って来るんだ!」
2002/03/25(月) 22:22:02 ルナ
タイトル 海を渡る準備
「余り海を渡る事を勧めたくないのだが・・・一刻を争う時だ。そうは云ってられない・・・
薬は海の向こうの小さな村で手に入る。古井戸の底に有るのだが・・・
其処にモンスターが眠っている。相手は手厳しいぞ・・・・君達の健闘を祈る。
ルナ、凛耶、指導した通りに遣るんだ、いいな・・・」
「はい?」
私と凛耶はいきなり自分の名前を呼ばれ変な声を出す。
「だから、此処には薬は無いのだ。大陸の小さな村で手に入る」
「えぇ!?そうなの?」
私はぜんぜん聞いてなかったので驚いて大きな声を出し立ち上がった。
だってね〜。この手の話って長いんだもん。
「カイ、お前は急いで伝えて来るんだ。凛耶とルナはこちらで海を渡る準備をさせるから…早く行って来るんだ!」
師範はカイの方に向き直りそう言った。
カイは頷くと全速力で出ていった。
「特にルナ。あそこのモンスターは強い。教えた力を試す時だ。」
師範はいつもより真剣な顔をして言った。
「試す時って言われても・・・。ほんとにあんな技が役に立つの?」
私ははっきりとそう言った。
「役に立つから教えたんだ。そんな事を言ってないで海を渡る準備をしておけ。」
師範はやや怒り気味にそう言うと準備のために出ていった。
「師範もああ言ってるし行くぞ。」
凛耶は立ち上がるとすたすたと出ていった。
「あ!ちょっと待ってよ〜!」
イリフをふと見てみると真剣なさみしそうな顔をしていた。
でも、その時の私は気にもとめていなかった。
2002/03/27(水) 11:33:33 三嶋 出雲
タイトル 遅い!(私が)
――地上
「遅いッ!!」
何分待ったのかは知らないが、俺らをみるなり指をさして言うルナ。
「海を渡る準備はこっちでしたからあとは出るだけだけど…」
そう言って凛耶は荷物を見せる、結構な量のその荷物はほぼ凛耶が持ち
ルナは軽そうな袋をちょっと下げてる程度だった。
「お前少しは手伝ってもってやれや…」
俺は呆れながらに言う。
「何よ。あんたレディに重たい物もたせようっての」
「レディ?誰が?」
そしてまた、下らぬ痴話げんかが始まろうとした時、小春が呆れて止めに入る。
「アンタ達、今はそういう状況じゃ無いでしょ。」
「ハーイ。」
コールは痴話げんかが止まったのを確認すると「じゃぁ行きましょう」と
一言いって水の精霊の元に向かう。
「おい、コール場所は…」
凛耶があわてて教えようとすると、コールは止まり、
もう一度みんなの方に向き直る
「わかってますよ凛耶、ホタルの村でしょう。あそこの井戸は有名ですから。」
「蛍の村?」
「えぇ。使わなくなった古井戸の湿気やぬかるみ、土の質が良いせいか
非常に良い薬草が取れるんですよ。」
2002/03/27(水) 22:03:04 ルナ
タイトル 船酔い
へー。ホタルの村かぁ。私はそんなとこ
これっぽっちも知らなかったけど・・・・。
私はそんな事を考えながら船に乗った。
またウィリルにお世話になる訳にもいかないしね。
船の船長さんにはちゃんと事情を説明した。
だから、海獣の事は心配いらない。
っとふいに私はレイジェンの事を思い出した。
「ねぇ、レイジェンは?仕事ってもう終わったんじゃない?」
私はコールに聞いてみた。
「それがなんだか長引くらしいんですよ。アンにも調べてもらったんですが
あそこからこの町に行くにも時間がかかるらしいんです。」
コールはそう言ってこの町で待ち合わせしてるので
戻ってくる頃にはいるでしょうと言った。
そうこうしてる間に船は出発した。そういえば私、船に乗るのは始めてだなー。
自分の部屋に荷物を置くと私は甲板に出た。
綺麗な海。どこまでも続く海。塩のにおいがなんだかこしょばゆい。
「綺麗やなー。俺んとこはもっと汚いぞ。」
ふいに気づくと出雲が私の横に立って海を眺めていた。
横にはちゃっかりとノルフも居たりする。私の頭にもイリフがいるけど。
「チキュウってとこってそんなに汚いの?なんで?」
「俺ら人間がゴミとか捨てたりするからな。」
私の言葉に出雲は海を見ながら言った。
「なんでゴミなんて捨てるの?そんなの汚くなるに決まってんじゃん。
あんたのとこの人ってみんなバカなんだー。」
私はうんうんと頷きながらそう言った。
「バカとはなんや!俺が実際してる訳じゃないねんから俺に言うな!」
どうやらさっきのバカってのに怒ったみたい。っとなんだかちょっと気持ちわるっ
「仕方ないじゃ・・・」
私はそこで言葉を止めた。何何々?めっちゃ気持ち悪ー!
私は口をおさえてしゃがみこんだ。
「なんや?どうした?」
さっきとは違って出雲は心配そうにしゃがんで私を見た。
横ではノルフも心配そうに見てる。
・・・ルナー・・・
イリフも心配そうにして私の頭からおりた。
「・・・・気持ち悪っ。」
私はううっと涙ぐんだ(っと思う)。
「・・・・お前・・・・もしかして船酔い?」
出雲はそう言いながらもにやついた顔。
「・・・船酔い?何それ?」
私は気持ち悪さをおさえながらも答えた。
その言葉に出雲の肩ががくっとさがった。
2002/03/30(土) 02:02:00 立木 小春
タイトル お薬
皆が船に乗り込み、準備を整えた頃
あたしとソフィは二人、甲板へ出た。
太陽の光が反射した海が輝き、何処までも続く海の青を照らした。
眩しい程綺麗に輝く海は、広く 何処までも続いている。
風に煽られ、海を眺めながら、あたしは地球の事を思い出した。
ソフィは無言で、甲板を漂っていた。
数m離れた先に、ルナと出雲君が居るのにも気付かずに。
すると、考えに耽っている途中 数m先の二人に中断された。
ルナが船に酔ってしまったらしい。
「ピンクのやつが船酔いで吐きそうになってるんやけど
俺どうしたらええんかわからんねん…看てやってくれへんかな…」
出雲君はそう言うと、蹲るルナを指差す。
ルナの傍では、イリフとノルフが言い合いをしていた。
あたしは、震えながら嘔気を模様しているルナを、船のトイレへと運ぶ。
後ろで出雲君は、「止めんかお前等!!」と、イリフとノルフの二人を止めていた。
トイレで背中を擦りながら、「大丈夫?」と声を掛ける。
潰れか掛った声で、ルナは「ダ、ダメ……ゥプ」と、辛そうに答えた。
すると、ドアをノックする音と共に、メリルが姿を現した。
「これ、気持ち悪い時に効くお薬です。ルナさんに・・・」
「…有難う」
そう言って受け取った物は、小瓶に入れられたとても小さい茶色で丸い物。
「それ、噛まずに呑むと良いんです。じゃぁ私、失礼しますね」
それだけ言うと、メリルはドアの向こうに消えた。
「ルナ、これ呑みなさい」 あたしはそう言ってルナに小瓶を手渡す。
小瓶の蓋を開けるとルナは 「ウッ…くっ臭いよこれ〜」
「それ呑んだら治るのよ…
あたしはそろそろ出るから 治ったら此処出て安静にしてなさい」
「う…う゛ん…」
そうしてトイレから出ると、其処にメリルが居た。
「ルナさん、大丈夫ですか…?」
「えぇまぁ…なんとか………ね。
あの薬、有難う」
「いえ…。実は私もあの薬、ちょっと…この前二日酔いで気分が悪くて その…
自分で作ったモノなんです。普段は自分には使わないんだけど…
悪いのは臭いだけじゃないけど、効くんですよ!」
あぁ…そう云えばメリルもこの間は大変だったワ…
数日前の事を思い出しながらメリルを見ると
トイレの中から「ぐぇぇッッ!不味いぃ゛!!!」と、叫び声が聞えてきた。
2002/03/30(土) 03:34:58 立木 小春
タイトル 2
叫び声を後に、あたしは再び甲板へと場所を移す。
すると、先鋒に見えたのは、新たな大陸だった。
甲板に居たソフィがあたしに気付くと、風に漂いふっと近付く。
…小春、大陸が目ノ前ヨ! アタシ、ホタルノ村なんて
聞いた事が無いから何だかワクワクしてきちゃった!…
何とも嬉しそうな表情を浮かべたソフィは、そう云うと 甲板の先へと踊り出る。
風の抵抗も無く、唯嬉しそうに其処に漂っていた。
あたしはと云うと、嬉しさも何も感じない。
自分の中に、唯漠然とした不安が募るだけだった。
大分前の事になるが、封印の森で獣に襲われた、地球では全く有り得ない事を思い出す。
…そう云えばあの獣に名前を付けたんだっけ…ジルック?いや、イズモね。
そんな事を思いながら、昔の思い出と重ねた不安が徐々に湧き出て来るのが解った。
大陸はもうすぐそこ。
辿り着くと先ず先頭を切って船から降りたのはコール。
「さぁ、皆さん準備は万全ですか? これから向かう先は危険らしいので
装備は今まで以上に完全にしておかなければなりませんよ。
特に地球に住んでいた皆さんは危険に慣れていないでしょうからね」
するとルナが、何時もより更に元気な声で、コールに叫ぶ様に云う。
「あたしはもう万端よ!!」
「お前もう治ったんかいな・・・ずっと大人しくしとったらエエのに…」
「何よ?何か文句あるの!?」
…又始まったワ………
あたしは二人の中を割り
「今回は其処らへんで止めておきなさい二人とも…
先ず蛍の村とやらを目指しましょう」
そう云って、呆れた様子の姿、コールの頷きと共に
蛍の村を目指し歩き出した。
村は割と此処から近い場所に在るらしい。
前居た町とは違い、この大陸は静まり返り異様な雰囲気を醸し出す森ばかりが目に付いた。
聳える木は陰湿で、どこか封印の森とは違っていた。
2002/03/30(土) 03:45:06 立木 小春
タイトル 3
一同は、殆ど人気の無い村へ辿り着くと、奥の暗く佇む古井戸に目を遣る。
アレが有名な古井戸、って訳だ。
沈黙を破り、コールが一声する。
「さぁ、出雲達は早速この村で装備を整えましょう」
「装備て…どうするんや?メリルやコールが持ってる様なん使うんか?」
「いえ、其々の得意な分野で装備する事にしましょう。
メリルや私が持っている杖やナイフなんかが、
出雲達には役に立たない道具かも知れませんからね。」
「そうか…て、俺得意なもんとか無いぞ;」
「安心して下さい。そこらへんは其々についている精霊によってもまた異なってきますから…
で、出雲の他の方達は何か得意分野等、有りますか?」
「やっぱり得意なモノなんかい!?」
そんな出雲君を無視してコールはあたし達を見遣る。
「…そう云えば…あたしは地球で剣道をやっていたけど…
それが武器なんかになるのかしら?」
「そうですか…其れなら十分に此方で装備が出来ますね。
じゃぁここで話し合うのも何ですから、先ずこの村で装備を整えられる店に行きましょう」
そう云うとコールはこの人気の無い村を見回り、店を探し出した。
「ここですね。さ、入って下さい」
そう云って皆を中へ促すと、其処は見た事も無い武器なんかが
並べられている店。異様な空気が漂う場所であった。
店の主人は昼食を摂っていた途中だった様で、客のあたし達を見て驚いている。
「あんた達、見た事無い顔だけど…何処から来た?」
「あぁ、どうも。私達は海を渡った向こうの大陸から来た者です。
決して怪しい人物ではありませんよ」
コールがいつもの様に、ニコッと微笑みながら答える。
「そうか…そういや昨日も変なヤツがやって来たけど…
関係無いみたいだな。ヨシ、何が欲しい?」
そう云って張り切る主人を前に、コールが話を始める。
あたしや、前 地球に住んでいた未凪や出雲君、凛耶なんかは
店内に置いてある武器や部品を見て廻り、初めて見る物に目を光らせた。
2002/03/30(土) 04:18:20 立木 小春
タイトル 4
「ほぉ〜っ!凄いなぁ……エフエフみたいや!」
「エフエフ?…何よ、其れ」
「エフエフ知らんかいな?」
「聞いた事あるだけよ」
「エフエフゆうんはなぁ・・・・・」
語り出す出雲君を余所に、あたしは目の前に有る竹刀に目を止めた。
懐かしさを感じながら、手に取ると其れなりに手応えの有る、懐かしい手触りを覚える。
「て、聞いてんのか?」 出雲君の言葉に振り向くと、コールが一斉に声を掛けた。
「皆さん、取り敢えず其々この武器を身に付けて下さい」
「何や!決ったのか?」
出雲君は自分の物を手に取ると、何もかも初めての物に、更に目を輝かせていた。
そんな表情を浮かべる出雲君を、気に食わないといった様子で見ているルナ。
「何よソレ!ダッサ!」
「何やウルサイなー!」
コールは二人を既に無視して居た…。
そして其々、私達にも相応の武器を手渡した。
手元に光る、長刀を前に、ソフィが
…アタシが決めたノヨ! 気に入った?…
そう云って 無邪気に笑った。
「準備は出来ましたか? 早速向かいましょう、時間が有りません。」
コールが促した。
2002/03/30(土) 04:24:11 立木 小春
タイトル 5
古井戸を実際に目の前にして、其の大きさに気付く。
「デ、デカイな…」 出雲君が一声漏らした。
井戸の中は当然真っ暗な闇が続き、殆ど何も見えていない状態。
この時初めて、恐怖を覚えた気がした。
先の見えない危険と恐怖に押し黙る。
やはり此処でも 先頭を切ったのはコール。
「私が先に下りますから、皆さんは後に続いて下さい」
そう云って、井戸を下りて行った。
「じゃ、次私が行くわ!」
ルナが後に続き、出雲君が次、私達は其々後に続いて下りた。
中は案の定、真っ暗な闇。
凛耶の精霊、カイはそんな中一つ 明かりを燈した。
此れで何とか周りが見渡せる状態になる。
井戸の中は水なんか無く、土だけが湿り、随分昔から使われる事の無くなったかの様に思えた。
井戸の中の空洞は、小さな洞窟の様。
「…何処に薬草が有るんでしょうかねぇ…」 コールが云う。
「薬草が有る場所は、なんとなく見当が付きます。
この洞窟の先を抜ければ多分其処に有るんじゃないかと思いますが…」
メリルがそう云うと、「じゃぁ早速行きましょう」と、コールが先を急いだ。
「わぁ、こんな所にも花が咲くんですねぇ」 メリルが、端に咲く花を見付け
其処に駆けると、ルナも後に続き、皆 其の花に目を向けた。
太陽の光なんて無いこの場所でも、花なんて咲くのね…本当に不思議だわ。
「やはり此処は土の質が良い様ですね」
花を眺めていると、横に居るルナが 「ちょっと…何か…気配がする……」
皆が息を呑んだ。沈黙が流れる。只ならぬ雰囲気に、皆、息を殺していた。
心臓が高鳴る中、徐々に近づく足音に 目を瞑り掛けた其の時
聞き覚えの有る声。
「誰だ」 ?
「……アレ…?レイジェンさんや!」
皆が目を向ける。"何故此処に"といった様に
「レイジェン?!何で此処に居るのよ?!」 ルナが問うと、レイジェンは
"其れはこっちのセリフだ"と言わんばかりに、不機嫌そうな声で「仕事だ」
と、一言答える。
「まだ封印の森に居たんじゃなかったの?」
「封印の森では薬草が見付らなかったんでね…昨日此処へ来た。」
数日前のアンの調査とは裏腹、レイジェンは久々に此処に姿を現した。
「薬草?」 コールが問う。
「そうだ。」 レイジェンは相変わらず口数が少なかった。
2002/03/30(土) 10:04:01 榊 凛耶
タイトル 武器ー
「凛耶、これは如何です?」
人間の姿になり他の奴らと一緒になって武器を見て回っている。
「え?…あぁ、俺は良いよ」
俺は空手…というか師範曰く武器は使わずに素手でやるタイプらしいから特に武器なんて必要ない。
それはカイも同様だろう。
「でも取り敢えず短剣位持っていたら如何ですか?邪魔にはならないはずですし」
ダガー、と書かれている値札のついた短剣を差し出され、俺は渋々それを手に取ったのだった。
井戸の中は小さな洞窟になっていた。
そして、その中にはレイジェンまでが、居た。
「薬?」
「そうだ。」
此処にある薬なんて1つしかない。
伝染病の、薬。
「薬って…伝染病のか?」
俺は腰元にぶら下がっている短剣を煩く思いながらレイジェンに問い掛ける。
するとそいつは特に何も答えなかったが軽く首を縦に振った。
「じゃあ…薬はあったんか?」
出雲はレイジェンが首を縦に振るのを確認してから改めてそう聞く。
レイジェンが何も答えないので俺は腰からダガーを抜き取った。
剣、なんて俺には良くわかりはしない。
地球になんか中々無かった物だから。
けど、これは素人の俺でもいい手入れをしていることが判る気がした。
「………ッ!!」
誰かが、声にならない悲鳴を発したらしい。
…メリルだ。
珍しい草花でも奥のほうに有ったのだろう、奥の方で身体を竦み上がらせてる。
「どうした……」
俺は変な様子に気付きメリルの法へと向かって歩くと不思議な物と『目』があった。
「おい!……何か、何かいるっ!!」
微動だにしないメリルを引っ張ってくると俺は他の奴らの方に向かって叫んだ。
…きっと、レイジェンはこれに気付いていたのだろうか。
……、何だか、怖い化け物がこの洞窟に潜んでいたのを…。
2002/03/30(土) 21:04:47 ルナ
タイトル モンスター
「おい!……何か、何かいるっ!!」
メリルをひっぱりながら凛耶は後ろに下がった。
私もさっきから何か感じていたけど・・・。
これが・・・師範が言ってたモンスター?
暗くてよく分からなかったけどだんだんと姿がはっきりとしてきた。
犬・・・といえばそうだけどでかい。
それに、何か違う。耳がいように大きいし体なんて迷いの森で
会ったクマぐらいはある。目は不思議に光っていて
殺意が漂ってる。危険だ・・・私は直感的にそう思った。
これからレイジェンは逃げてきたのだろうか?
グルルルルルル
そいつは明らかに殺意を私達に抱いてる。
コールはみんなよりも早く呪文を唱え始めた。
「待って下さい!話せば分かります!きっと・・・」
メリルにそう言いモンスターに近づいた。
「私達はあなたに危害は加えません。本当です!」
グアアアアア
「きゃあ!」
メリルはモンスターにはじきとばされた。
「大丈夫ですか!」
つかさず未凪がメリルに駆け寄った。
・・・体ハ大丈夫ヨ...心配ナイワ・・・
リュイはそうメリルに言った。
「こいつには言葉なんて言っても無意味だ。心などない。」
レイジェンは戦闘態勢とばかりに片手剣を構えながらそう言った。
「・・・・だそうよ。倒すしかなさそうね。」
小春の言葉にメリルはうずくまりながらも静かに頷いた。
メリルでもだめなんて・・・ほんとに心がないみたい。
・・・・あの技を使うしかないのかな?
「おい!ルナ!あの技、使うぞ!」
凛耶は私を見てそう言った。
そして、私は凛耶の言葉に静かに頷いた。