セガサターンソフト「BAROQUE」はハッキリ言ってクソゲームだった。 それでも僕が熱狂していられたのは、その製品に関わったバロックの効果だと思う。 あのバロックは非常に長持ちしたし、また一般的なバロックと比較すれば時間も金もかからず、しかも安全で、 その上バロックを消そうと頑張るアンチ連中もいなかった。普及している物なら、こうはいかない。 あのバロックのおかげで、僕はあのクソゲームを名作やら大作だとか言って誉めることができていた。 仕組んだ連中に感謝したい。とりつかれている間は妙に幸福だったのだし。 BAROQUEは、良くできたバロックだった。 しかし、BAROQUEはバロックだ。BAROQUEがどんなに優れたバロックであっても、 普及しているバロックや他の優れたバロックも持つ最悪の共通点は確実に残っている。 "バロック"だ。 その意味ではどれも変わりがない。それらは評価されるべき良いバロックであれ、最悪のバロックであれ、 どれでもバロックの正体は「病気」でしかない。それも鬱陶しいことに不治の病ときた。 何より重大なのは、この病気は伝染するという事。 しかも一般の伝染病や麻薬と違い、こいつの場合は侵されていることに本人が気付くことは絶対にありえない。 周囲の人間は異常を指摘するかもしれないが、本人は否定するだろう。また、バロックは分類することはできても、 一人一人の抱える物で微妙に違うために、これを治せる医者や専門家はいない。 ほっといてもほっとかなくても、本人がバロックをやめようとしない限り状態は悪化していき、 しかも悪化するほどに、より強力で質の良いバロックを求めるようになる。それで抱えるバロックが 強いものになれば、また自分の抱えるバロックに相応しいバロックを探すようになる。そして状態悪化。 この危険な娯楽は、そんな悪夢の繰り返しだ。 これは現状では不治の病だ。侵されたかどうかの判別はつかないし、既に抱えている人はハッキリ言って どうしようもない。ただ、これが悪化していけば、いずれ自分に相応しいバロックを見つけ出すことができなくなり、 自分の抱えるバロックの上に、さらに自分(または同じ種類の人)の開発したバロックを上書きしていくようになる。 つまり真っ当なバロックで楽しめなくなるわけだ。これはマニアと呼ばれる人に多いが、バロックもここまで 強い物になると、強烈な事件でも起きない限り消滅しなくなってしまう。あまり健康的ではないし幸せじゃない。 多分、そんなバロックは抱える前に治した方が良いのだが、治す方法は誰も知らないし、治ったと思っても、それは単に 新しいバロックに包まれているだけなのかもしれない(僕なんかより酷い状況に居た奴が"バロック完治"を宣言した事が あったが、やってることも言ってることも変わらない、という事があった)。できるなら悪化は防ぎたいが、 予防で僕が思いつくのは、せいぜいバロックになる可能性のある情報を避けることくらいだったりする。 もし誰かがこの伝染病の治し方を知っているのならば、自転車で行ける範囲ならば訪ねてでも聞きたいところだ。 さっきのBAROQUEにもそんなバロックはどこかに含まれていたが、それでも僕はBAROQUEを良かったと思う。 このバロックはBAROQUEを中心として、雑誌の記事や、メーカーからの広告などがメインの媒体となっていたが、 そのバロックの中には、よくある陰湿な空気や、何かに対する敵意など全く感じられず、バロックを既に抱えている人、 抱えていない人、誰にでも平等に魅力的な光を放っていた。その妙な情報は、しっかり娯楽として活躍していた。 なによりもバロックから抜け出した時に患者のバロックが悪化しなかった。その時がくれば簡単に捨てることができたし、 しかも捨てるために新しく他のバロックを抱えたりする必要もなく、バロックによって考え方が変わったりすることもなく 単なる「変な方向で流行ったゲームソフト」で結末を迎えてくれた。 これの影響で初めてバロックを抱えてしまった人には申し訳ないが、僕個人としてはBAROQUEを誉めてやりたい。 ___まあ、あの時の同類に言わせりゃ、今僕が無理矢理誉めてるのも、バロックの影響なのだろう。なんだか僕もそう思うし。 しかしもう一度こんなバロックに包まれて、既存のバロックを相殺したりできないものだろうか? もっとも理想的な状態は良いバロックを抱えるなんて事ではなく、バロックなんかで遊ばないことなのだけれど そいつは今の僕には無理だろう。 ついでに怪しげな余談を一発。 ここで詳しいことは書けないが、僕が見かけた範囲では、凶悪なバロックほどメジャーになっていたような気がする。 今、僕が抱えているバロックにしても、ちょっと前までは妙に流行っていたし、バロックの媒体となっている製品も 販売している企業やバロックを抱えた人達の影響で妙にメジャーだった。実は同じ種類のバロックが妙にどこにでも在る。 判別も回避も不可能。ついでにここはゲームサイトだから、ここに来るような人ならバロックを抱えていないはずがない。 いやあ、残念でした、諦めよう。 ☆注意☆ バロックを無理にでも治したい、または悪化を防ぎたいという人は、このサイトに二度と来ないこと。 個人サイトだからと調子に乗って自分でも何を言いたいのか解らないコラムがいっぱいあるくらいだし、 バロックが伝染する事も充分に考えられる。以上。 |