| 武田麟太郎 |
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『日本三文オペラ』 (講談社文芸文庫 2000年7月刊) |
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講談社文芸文庫に入っているもので、表題作以外にも、「井原西鶴」や「暴力」など、小説が6篇、「横光利一」などの評論や随筆が6篇収められています。 武田麟太郎の代表作と言うと、やはり、そこまで普通のマルキシズム文学作家(という言い方はあまりに語弊があるか。まぁ、他と比べて力量の秀でた部分はあったにせよ、一般的なプロレタリア文学のあり方からさして離れていなかったマルクス主義文学者だった、という意味において)でしかなかった彼が、そこから一歩抜け出してきたとされる「日本三文オペラ」ということになってくると思われ、また、実際に読み比べてみると、「日本三文オペラ」の作品としての完成度はやはり素晴らしいんですが、僕の興味をより強くひいたのは「井原西鶴」でした。 「井原西鶴」は、巻末の年譜によれば昭和12年の10月に発表された作品であり、川西政明氏の解説「叛逆する身体 −武田麟太郎伝」は、この作品について「『井原西鶴』は病気の娘を見捨てて遊行する西鶴に武田麟太郎を重ねたところにできた作品で、本人はこれを私小説と呼んだ。生粋の私小説を書くのを嫌った作者の心意気であろう」とします。 しかし僕自身は、この時期の歴史文学には共通して私小説としての側面を見るべきであり、歴史と私との重なりを太平洋戦争というひとつのモメントをすかしこむことで確認しようとしたのが、この時期に歴史小説を手がけた作家にはおよそかなりの部分まで共通して言えることだと、以前から考えていますので、川西氏のように「作者の心意気」という言葉だけでは片づけきれないものがあると考えるのです。 西鶴に対する麟太郎の共感は、僕の考えを裏付けてくれるものに他ならないと、改めて感じました。いや、これはマジな話。 (2000.12.20) |
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