白いかすかな吐息のむこう
僕を見上げようとした視線は
すぐにうつむいてしまった
ゆるく流れる斜陽のかげに
のぞいて見えたとまどいの色
覆い隠してしまうんだね
いつだって そう
言葉なんか忘れたみたいに
笑ってるんだ なんでもないって
僕は不意に苦しくなる
教室のすみ 低い空を見てた
君の背中 よるべない肩
君の声が聞きたいよ
一年前のクリスマス・イブ
あふれるばかりの思いを知った
君は何も変わらないけど
もう見過ごせない
ためらうような君の笑顔
ゆうべの電話で君の声は
少しふるえていたみたいだね
聞き慣れないその感情
とぎれとぎれに届いた言葉
うなずくたびに息苦しくて
僕は部屋を飛び出していた
いつだって そう
物静かな表情の奥で
歯をくいしばり 拳を握って
君はひとりで立っていた
夜が明ければ 空は青く高い
白い道を会いに行くから
君の声を聞きたいよ
一年前のあの夜みたいに
あれから君は何を思ってたの
君の言葉が欲しいよ
うまくできるかわからないけど
こぼれ落ちたって受け止めるから
他に何も望みはしない
せめて今日くらい
二人だけの話をしよう
ひとつずつでいい
君の言葉を聞かせてほしい
「ほら。行こうぜ」
「…うん」
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いちのぎ燎
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