サヨナラノ後



数日前の出来事だった。
あいつとHしたのは。

あいつは、なんでも無いことのように笑っていた。
けど、俺にとっては違う。
だって、俺はあいつに抱かれて嬉しかったんだから。
けど、俺とあいつがそういう関係だと、
チームメイトや監督達にばれて…。
ムリヤリ別れさせられた。
好きなのは悪いことじゃない。
そう言ったくせに!
大人はいつも汚い。
俺たちに、選ばせない。
SEXしたことが一番の原因だと解っている。
けど、なんでSEXしちゃいけないんだ?
俺が言うと、
監督は『中学生で、男同士』だからと、
言った。
男同士だと何故いけないんだ。
『普通じゃないから』そういう答えが返ってくる。
なんで、普通じゃなきゃいけない。
俺とあいつが、好き合っているのは、
嘘や遊び半分なんかじゃないのに。
本当に、愛してる。
本当に、好き。
じゃなきゃ、どうしてHできる?
好きでもない男に抱かれたりしない。
好きでもない男を抱いたりしない。
だって、俺たちは男同士だから…。
本気じゃないなら、女の方がいいに決まってる。
本気だから、俺はあいつに抱かれた。
あいつだって、多分同じ。
実際、女好きだから。あいつは特に。

別れさせられた後も、密会していた。
一晩だけの逢瀬。
体が壊れるくらいあいつに抱かれた。
あいつは、俺を激しく求めてきた。
ただ、それだけで嬉しくて。
あいつが、求めるままに体を委ねた。
求められるままに、
足を広げ、あいつの侵入を許した。
中を掻き回され、俺のいいところ
を探し当てると苦しいほど、
そこばかりを突き上げてくる。
息をつくのもままならない俺の口唇
に、自身のそれを重ねてくる。
『ヤっ…もっ…くるしぃ…』
あいつはただ微笑んで、そっと口唇を
離した。
快感すらもそれとは解らなくなるほど、
あいつに抱かれた。
頭の中は真っ白で、ただこいつと一緒に
居れることだけで嬉しかった。

部活で、俺たちは顔を合わせても、
話しは出来なかった。
衆人監視の中にいるのだから。
もし、まだ逢っていることがばれたりしたら、
今度こそ本当に逢えなくなる。
そんなのは、絶対嫌だから…。
部活の少しの間さえ我慢すればいいんだから………。

『好き、ずっと傍に居たい』
『そんなこと、言われたかて…しゃあないやん』
あいつは、俺を抱きしめ、頭を撫でて言った。
そこを水野に見られた。
『タツボン…』
『シゲ…それに、間宮。
お前達まだ付き合ってたのか?
別れさせられたんじゃなかったのか?』
『誰にも、ゆわんといてんか?
俺らこれでも我慢しとんのや』
『頼む、水野』
必死に二人で水野に頼む。
すると、意外なほどあっさり協力してくれるという。
『シゲがここまで本気なのは珍しいからな』
と、笑っていた。
『ホンマにええんか?俺らをかばっても』
『ああ』

キスしてSEXして、それでも足りないのは何故だろう。
どうして、俺たちは出逢ったのだろう。
こんなに、辛い恋ならしなければよかった。
そんな後悔さえ、俺の中に溢れてくる。
好きなのに、一緒に居られないなら
いっそのこと嫌いになれたらよかったのに。
その方が、あいにとっても良かったんじゃないかと
今は、思えてくる。
だって、仕方ないじゃないか!
どうあがいたって、俺たちが男同士ってことに変わりはないんだから。
俺が、一人そう思い立って、
部活を辞め、あいつの前から姿を消した。
学校は、実家の近くの江戸川中に転校した。
俺には、目映しすぎるから…
あんなふうに水野に頼んだ後だけど、でももう後悔しないために…。
 

あれから、五年。

俺たちは本当にあれっきり逢うことは無かった。
しかし、Jリーグで再び出会うことになったのだ。
『よぉ、久し振りやなぁ』
にこやかに微笑むあいつの目は、明らかに怒りを帯びていた。
『ひ…久し振り…』
すると、俺に近付いてきて胸ぐらを掴む。
小声で耳元にドスの効いた声が響く。
『なんで、俺から逃げたんや?そうゆうんを裏切りっちゅうんや』
『ごめん。…でも、その方がいいと思ったんだ。
俺たちは所詮、男同士で異端だから…この国じゃ幸せは掴めないんだ。
だったら、別れたほうが上策だと』
『なんや?幸せになれひんやったら、好いた男捨ててもええんかい?!
ちゃうやろ?幸せやなんてそんなん決めんのは、他人や無い。
俺らや。お前が、俺ん前からおらんようなってから
他の奴とも寝たけど、忘れられひんかった…お前んこと。
他の奴好きになろうとしても、お前のこと忘れられひんかった。
好きなんや。やっぱ、お前がいい』
『ごめん…。もう、無理だよ。俺、結婚したんだ。
子供も二人居るし…今更、家族のこと捨てられない』
『それでもかまわへん。俺と付き合ってくれ』
『佐藤………うん。俺も、お前がいい』
掴んだ手を離すと、衆人の目も気にせず
抱き合った。
 
もう二度と離れたくない。
お互いそう心に誓った。
 
報われない恋でも、叶わない愛でも
想えば相手に届くのなら………
それでもいいと

ただ一緒に居ることができるのなら
 
あなたを想う事が許されるのなら

 
彼を愛してもいいですか?

願うことは罪ですか?

ただ人並みの幸福と営みが許されるのならば

神様

僕たちはどんな試練でも受け入れましょう

例えそれがいかなる困難な道であろうとも

僕等は歩み続けましょう

この命尽き果てるまで。  

fin  

2001.10.9

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