まみやんの家族の秘密





某月某日。
韓国戦を終え帰国後のこと。
久々の休日に間宮は美人な女性と街を歩いていた。
しかも、腕まで組んで。
そんなのを目撃したのは、U-14の三人組。
なんで間宮があんな美人と!?
という疑問を持ちながら、トレ選の合宿の日が来た。
ここぞとばかりに、結人が疑問をぶつける。
一応、同じポジションだから少しは喋ったことがあったから。

「なぁ、間宮」
「何だ?」
「この前…韓国から帰ってきた次の日さ、新宿で美人と
歩いてたの見たんだけど。あれ、誰?彼女?」
その結人の発言に興味を持った奴等が話しに参加してくる。
「何何?間宮に女がいるのか?」
これは鳴海。
「…あんな美人、お前にはもったいないぜ」
これは一馬。
「で、ホントのところどういう関係?」
これは英士。
「…帰国した次の日?……女?」
意味が汲めず反芻する間宮。
「そう。腕組んでた。美人な年上の女性と!」
「…年上?………ああ!!」
やっと思いだしたのか、間宮から肯く声が聞こえる。
「で、誰なんだよ?」
少し不機嫌に聞く結人。(まみやんがナカナカ思いださないのでいらついてたのだ)
「…姉だ」
「「「「「はぁ!?」」」」」」
全員の声がハモッた。
「俺の姉だ。……韓国から帰ってきた次の日だろ?」
「そうだよ」
「だったら、俺の姉貴だ」
「マジかよ?あの超絶美形の君が?!」
結人があっけにとられたように呟く。
「ホントに血繋がってんの?」
英士が疑わしげに問う。
「ああ。…実の姉だ」
「嘘だろ。全然、似てねーじゃん!」
一馬が言う。
「俺は、父親似で、姉は母親似なんだよ」
嘘言ってどうする。とっいった顔で結人たちを睨む。
「ふ〜ん」
と言ってみたもののなんだか腑に落ちない。
「…って、ちょっと待て!」
「何、結人うるさいよ」
英士がしかめっつらで結人を見る。
「……ってことは、お前の母親ってすっげえ美人ってことだろ?!」
それがどうしたといいたげな顔で、結人を見る。
「…なんで、んな美人がお前の父親と結婚するんだよ!?」
「知らねぇよ。俺に聞くな」
「そりゃそうか…。は、まあいいけど、もういくつか質問」
「なんだ?」
「お前の姉ちゃんって彼氏いるの?」
「いたら、俺と出かけないだろ。
…あの姉の彼氏に成った奴は一日と持たないらしいからな…」
「は?」
「今まで、何度か家に連れてきた彼氏はいたが、いつも違う奴だった。
身内には優しいんだが、素は恐いからなー……しみじみ」
「……どういう意味だそれ?」
「言った通りの意味だ。中身はかなり恐いからな…怒らせると半殺しになる。
精神的にな。昔、その現場を目撃したからな。絶対零度の冷たさで持って、
精神的ダメージを与えるのが特技らしいからな。
大人しい奴の方が怒らせると恐いとはまさにこのことだな」
「…どういう性格してるんだ?」
「…恐ろしくて俺の口からはとても…」
ホントに姉のことが恐いのか、青い顔をして間宮がいう。
「…それより、お前の親って見合い結婚?それとも恋愛結婚?」
「脈絡ないな。…見合いって話しは聞いたことないが、
恋愛とも呼べないだろう…あれは」
「「「「「は!?」」」」」
またもやハモる。
「どういうこと?」
「…母が強引にというか…脅迫されて結婚したとか父が言ってた気がする」
「なんだそれ。普通逆だろ?!」
「…父は気が小さくて自分の思ってることはっきり言えないタイプで、
母のが、気が強くてはっきりさっぱりした人で、
欲しいものは力ずくでも手に入れるタイプらしい…」
「………って、ホントに脅迫されたのか?」
「詳しくは知らないが、脅迫したってのはまんざら嘘でもなさそうだ。
あの母親ならやりかねんからな」
「どういう親なんだよ」
「そういう親だ」
「………ん、そう言えば写真が有るぞ。見るか?」
「ああ」
「………………!!?」
写真を見て絶句する間宮以外の全員。
「何か…」
「…妹もいるのか?」
「ああ。葵って言う。母は碧。姉は楓。父は大気だ」
「……なんだかそろってそうで揃ってない名前だな」
「…一応、自然のもので統一したらしいが…」
「そういわれりゃ、そうか…」
「……それにしても、女は美人なんだなー」
「どういう意味だ?」
ぎろりと睨まれ絶句する結人。
「なんでもないでーす」
冷や汗交じりで苦しい言い訳をするが、間宮は別段気にしていないようだった。
「…そういえば」
「「「ん?」」」
「母の一方的な愛には疲れるとか言って、ここ数年家に戻ってないとか葵が言ってた気がする…」
「………………」
おしまい。

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