これって二股?(←タイトルではない…)




『好きだ、間宮』
三上が突然俺にそう言った。
ムリヤリキスしてきて、しかも舌まで入れてきた。
『っ…いや』
俺は、三上を突き飛ばす。
一瞬悲しそうな目をしたかと思うと、俺をベッドの上へ押し倒す。
『ちょっと…何考えてんだよ!!放せ!!』
俺はばたばたと暴れ、三上の腕から逃れようとした。
でも…。
けれど、力の差は歴然としていた。
三上の手が俺の敏感な部分に触れてくる。
『いや…てめー、何処触ってんだよ!!』
もがいてみても、一向に放される気配は無い。
必死の抵抗も空しく、三上自身が俺の中へ入ってきた。
いや…だ。
あいつとしか、したくないのに。
いくら三上でも…嫌だ。
こんなの。
三上のことは気に入ってる。
なんだかんだ言ったって、後輩の俺たちに優しい。
言葉遣いは人一倍悪いが。
それでも、…いや、そんなところが気に入ってる。
三上らしくて好きだ。
でも…それとこれとは違う。
だって、こんなこと…普通は好きな相手としかしないものだろ?
俺だって、好きな相手以外に抱かれたくなんて無い。
あいつ以外に、されるなんて…こんなの嫌だ。
あいつとしか、キスもセックスもしたくないのに。
なのに。
何でだよ?
何で。
俺…あいつが好きなんだ。
あいつじゃなきゃ嫌なんだよ。
男にされるのが好きな訳じゃない。
あいつにされるのが好きなんだ。
あいつからだから嬉しいだよ。
あいつが好きだから。
他の男になんてされたくないし、したくもない。
お前のことは好きだよ。
でも、恋愛対象としてではなく、先輩としてなんだ。
もうやめてくれ。
こんなこと。
…ヤバイ。
体の方は、良くなってきた…俺の言うこときいてくれ。
俺の体のくせに…なんで、俺のいうこときかないんだ?
三上…何で俺なんか抱くんだよ?
女がいいだろ?
俺は正真証明男だぞ。
なのに。
何でだよ。
お前なら、ヤラセテクレル女なんて幾らだって居るだろ?
それとも本気で俺を好きなのか?


行為が終わった後だった。
『何でだよ?俺は別にお前を泣かせたいわけじゃねぇのに』
三上がそう言った。
『……何で俺を抱いたんだよ!?お前ならヤラセテクレル女なんて
幾らでもいるだろう!?俺じゃなくても…よかったんだろ?』
違う。こんなことが言いたいんじゃない。
『…俺は、お前が好きだ。だから抱いた。文句あるか?』
[文句あるか?]だと?俺のことレイプしといてよくそんなこと言えるな!
そう思ったがそれは言わない。
『文句はある。沢山な。けど、一つしか言わない。
俺は、好きな奴が居る。そいつとしかHしたくない。だから、お前になんて
抱かれたくなかった。あいつになら幾らでもさせてる。けど、それは
俺があいつのこと好きだからだ』
『っ!!』
三上は口惜しそうな…顔をした。
がばっ。
俺を抱きしめる。
『何で…何で俺じゃないんだよ?なんで俺を好きになってくれねぇんだよ』
三上?
本気なのか?
俺を好きなのか?
『俺はお前を好きだと思ってる』
『え?』
一瞬きょとんとした顔になる。
『けど、それは先輩としてだ』
三上の顔が益々歪む。口惜しさと妬み。そんな感じの表情だった。
『なんで……そいつは何処のどいつだ!?』
『上水の佐藤だ。あいつだけだ、俺が抱かれて嬉しいと思えるのは』
『…っ!!』
『…何で、ずっと近くに居る俺じゃないんだよ?!
別の学校で、滅多に逢えないそんな奴のどこがいいんだよ?』
『…解らない。でも、好きだから悪いところも良く見える。良いところは尚よくな』
『っ…くそっ!!』
なんで俺じゃない?
お前いつだって俺に纏つわり付いてきたじゃねぇか。
寮での食事の時だって、選抜合宿の昼メシの時だって。
なのに。
なんでだよ?
そりゃ、勝手にお前が俺に気が有るって勘違いしてた俺が悪いよ?
だからって・・・。なんでわざわざそっちにいくんだよ?
俺で済ませとけばいいだろ?
近場で恋愛しろよ。
どうせ相手男にするくらいなら。
確かに上水までは歩いて行ける距離だよ。(?)
それは認める。けど、学区が別だろ?
そりゃ、俺らは私立だからあんまり関係無いけど。
好きなんだよ。
お前が。
欲しいんだよ。
体だけじゃなくて心も。
なんで、俺じゃないんだよ。
先輩として好きだなんて言われたって全然嬉しくねぇよ。
男として(…って、男のお前に言うのは変だけど)見てくれ。
『俺の何が不満なんだ!?俺の何処がダメなんだよ?』
『解らない。ただ、一緒に居てもどきどきしないんだ。ああ、好きだって思わないんだ』
『…何で、俺で済ませとか無いんだよ?わざわざ別の学校の男と…』
『…お前こそ、なんで俺のことでムキになる?俺のことなんかどうでもいいだろ?
そこらに居る女の方が俺よりよほどお前好みだと思うが?』
自分に自身過剰で俺様的なお前がなんで…。
そんなに自分を卑下したように言う?
自身過剰で俺様的に振舞っても、影でその分、うんと努力してるのは知ってる。
だからこそ、お前のこと先輩として好きだし尊敬してる。
『……俺だって最初はそう思った。…それに男が好きなんてそんなの奇怪しいって
思ってた。けど、お前は俺のそんな気持ち全然考えないで、勝手に四六時中俺につき纏ってきた
じゃねえか!!気が付けばいつも傍に居て・・・俺がどれだけ理性ふり絞ってたか解るか?
お前のこと抱きたくなる衝動、ムリヤリ抑え込んできた。でも、もう限界だった。だから抱いた。
なんでお前なんかを好きかわらかねぇ。けど、そんなことはどうでもいいんだ。
俺は、お前が欲しい』
俺の目を見て真剣に言ってくる。先刻よりさらに真摯な瞳と言葉。
『……三上……それ、言う相手絶対違うと思うんだが?』
『なんだよ、それ』
俺が言った言葉に、不服そうに俺を睨みつける。
『笠井はずっとお前のこと見てた。きっと、お前のこと好きなんだろう
……笠井に言ってやれよ。その台詞』
『んだよそれ?バカにすんな!!あいつがそんな趣味な訳ねぇだろ?
大体、もしそうだとしても、なんで俺なんだよ?あいつ手厳しいぜ、俺には特に。
そんな奴が俺のこと好きなわけ無いだろ。笠井の事はどうでもいいんだよ。
俺は、お前がいいんだ』
『………………ごめん。お前の気持ちには応えられない。
俺が好きなのは佐藤だけだから。…だから、俺の事は忘れてくれ』
『……忘れられるかよ。好きな奴の事そう簡単に諦められる程、
俺は潔くは出来てないぜ。死んだってそうそう諦めてなんかやらねぇ』
『…三上らしいな。別にそれは構わない。けど』
『けどなんだ?』
『俺は、今後お前のこと警戒するからな』
『上等だぜ。受けて立つ』
いつものにやりスマイルを見せて俺様口調で言う。
『…』
やっと調子が戻ってきたようだな。三上。
ちゅっ。
『…三上…(怒)』
『油断大敵だぜ。警戒するんじゃなかったのか?』
『……』
『セックスフレンドくらいになら、なってやる』
『…佐藤以外にはされたくないんじゃねぇの?』
『なんかお前が哀れだからな』
『むか。同情しようってのか?』
『悪いか?それとも、やっぱり抱きたくない?』
ふふんと鼻で笑ってやる。
『…っ。抱きたいに決まってるだろう!!』
赤面していう三上に声なく笑った。
本当は、やっぱり佐藤だけがいいけど、三上に思われるのも悪くない。
かもしれない……?
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後書き
なんか今回ミカマミです。結果的に。
ってか、二股ですかい?
まみやんすごいモテモテ?
実はこれバト笛の一部未公開シーンだったのですが、
ここらへん全然それ関係ないまみやんの回想シーンだったので
ちょこっと書換てこちらにUP(笑)

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