これからの日常(成間水) 2003/09/16 (火)  
 
 

 

 ホントに好きだった貴方が居ない。
初めての恋終わった。






こんな歌詞に要約、感情移入できてしまうくらいの事実。
ホントにそうだった。
別れのセリフを俺が言うまで困った顔をしていて。
俺の方から別れようと言った。
でも、そのあと不意打ちのキス。
バカみたいに涙が止まらなくて。

あいつ、笑って言うから。
『ごめんな』





解っていた。
あいつが親父にそういう条件で、関西選抜に入れてもらったことも。
負けたらそこで終わり。
親の決めた相手と身を固めて、店(タナ)に入ると。
けれどそれはずっと先の話だと思っていた。
でも、サンガとプロ契約を結び京都に帰ったあいつが、
親の決めた相手とその時初めて会った。
どうも、その娘はあいつの好みをモロついていたらしい。
俺のこと嫌いになったわけじゃなくても、
俺以上にそのこに惚れたんだ。
だから、別れた。
別れるしかなかった俺には。
だって俺は男だから。







『なぁ、間宮。ホントに俺と付き合ってもいいのか?』
不安そうにそう言ってくる水野にああとだけ言った。
するとほっとしたように、水野の表情が明るくなった。
嫌いじゃない。
最初は嫌いだったけれど。
なんだか、都選抜のチームメイトとして一緒に居るうちに、
そんなに嫌いじゃなくなっていた。
その時、既に好きになっていたのかもしれない。
でもあいつと比べると、そんなに好きじゃないんだ。
まだ俺の中ではあいつが一番だから。
水野と初めて体を結んぶ時、ホントにいいのかって自分に問うた。
ちょっとまだ迷っていた。
だってあいつにしか、させたことないから。
好きな相手にだけしか。
水野が嫌いな訳じゃなくて。
好きという気持ちがまだ足りなくて。
でも、俺も忘れたかったから、そうしたんだ。
水野と。
体を重ねて。
伝わる体の熱。
あいつほど上手くは無いけれど、こいつが俺のこと好きだというのはよく解った。
そういう行為だった。
ただ、抱かれた後、満たされない。
あいつとだったらそんなことなかった。
心に穴が開いた感じ。
嫌じゃなかった。
最後に決めたのは俺。
水野に抱かれると決めたのは俺。
でも。
後悔しているのかも知れない。
早まったのかも知れない。
ごめんな、水野。
こんな気持ちのままお前に抱かれて。


けど、こればっかりは自分でもどうしようも出来ないから。
誰を好きになろうなんてコントロール出来るほうが奇怪しいから。




でも、これから俺の隣にはいつも水野が居る。
そんな日常が多分待っている。

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