夢見悪しき(笛パロ) 2004/04/17 (土)


	
今回、姫が間宮だったりしますので、
そんなのは読めないという方の方がまともです。
但し間宮は男口調のままです。
時代考証も何もあったものではありません・汗。





















時は平安。天は京に。
内大臣の姫、間宮は退屈そうに歌を詠んでいた。
『【春の夜に、啼き止まぬは…】どうも上手くいかない』
「それはそうでございましょう。
姫、こんな真昼間に、斯様な歌は些かずれております…。
夜の歌をお詠みになられたいのでしたら、夜になってからでも遅くはありますまい」
『それはそうなのだが…。この求婚の返しには夜の歌でなくてはならんだろう?』
そう、退屈して面倒くさくも感じるこの作業。
けれども内大臣の姫としては、
喩え断りの歌だとしても詠まぬわけには行かないだろう。
ただまぁ昔の歌人の歌を引用すれば早いことだが、
そこはそれ歌詠みだけは長けていると謳われた姫のプライドと沽券に関わる。
求婚は少なからずきてはいる。
姫の外見を差し引いても、姫の持つ地位は割りと魅力的だ。
東宮に入内することも可能な位置にいるのであるから。
正確には姫の父親が持っている地位ではあるが。
決して少なくはない文をくそ真面目に読み、
そしてそれに態々返事までしている。
本来なら喩え求婚の文であっても無視してしまえばいいところなのだが。
そこは姫の生来の性格が関係しているのだろう。
文には必ず相手からの歌が載っているものである。
それが好みか否かで求婚を断るというのも、この時代頻発していた。
歌が上手いほど相手に初染められ易い。
まして姫側が相手の名前や顔を知らない場合が多いとしたら尚のこと。
姫には東宮を筆頭として様々な地位のものが求婚の文を送っている。
しかも、東宮からの文は姫を女御にという話である。
これには流石に間宮姫自身引いた…。
ましてや時の東宮は須釜である。
恋には疎くとも東宮と結婚する気などさらさら無かった。
それならば身分卑しくとも好き合った者との方が、
よほど幸せになれるのではと考えたからである。

ひがな一日、退屈な文返しに精を出すなどほとほと嫌気が差してはいたが。
本来なら貝合わせや囲碁をして遊んでいるのが常であるが。
もう少し年が少なかった時分には、蹴鞠を楽しんでいたものであるが、
流石に結婚適齢期を僅かに(二歳ばかり)越えた今となっては、周りの目も厳しい。

『はぁ…』
「姫、息抜きに琴でも奏うじませぬか?用意させます故」
『それならば貝合わせの方が…』
「姫、音というのはそれだけで心を癒すものですよ」
『解った。そうする』
姫のお目付け役である乳兄弟の有希がそういうと、
間宮は渋々従った。


2004.4.14

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