冬も間近に近づいた秋の夕暮れ、山の端に日が入り辺りを薄暗く包み込む黄昏時、一人の女官がはたはたと庭をかけていった。彼女は裸足で渡り廊下伝いに走り目的の部屋まで辿り着くと、彼女たち独特の合図である鈴を廊下の下から取り、ちりんちりんとならした。
その音を聞き、中からは美しい姫がふすまを開けて出てくる。尾張の信長に嫁いだ濃姫である。まだ尾張に来て日は短いながらも独自の人脈を形成した彼女はその人脈の中の一人である女官の来訪を喜んだ。
「よくきてくれたわね。今日は何?」
にっこりと笑いながら問う。
「姫様!今日はすごいですわ!まず信長様と日吉様がふたりっきりで狩りに出かけたと思ったらあちらで待ち伏せしていたらしき五右衛門様と御会いになりましてあとはばみゅうだとらいあんぐる(一応戦国時代なので・・・)のごとくに日吉様をとりあっていましたの!」
女官は頬を紅潮させている。対する濃姫もそれを聞くたびにどんどん笑みが増して行った。
「まあ!ノブ×ヒヨの上にゴエ×ヒヨまで見れたの!?なんてうらやましい・・・」
「姫様!次のイベントのネタになりますわ!」
濃姫が独自に築いた人脈、それは身分を問わぬ女達のつどい、題して「同人女の集い」であった(そのまんまやん)。
「信長様、今日の狩りはどうでした?」
夜になり、寝床で訪ねてみると案の定信長はつまらなそうに答えた。
「別に、どうともねーよ」
我が夫ながら面白いほど言語パターンがわかる・・・・。
「あら?昨日あれほど楽しそうになさっていたのに?」
「う、うるせぇな!」
その場はくすくす笑って、そのあとすぐ彼は不貞寝してしまった。っち、まだいろいろ聞こうと思ったのに・・・・
姫とは言え、昼はとくにすることなどない。と、いうよりも暇なのである。帰蝶は外に何かネタ(オイ)を求めて軽い服装で外に散歩に出た。
門の外には舎人が眠っていた。平和なのはいいことだが、このようなことではきっと信長に怒鳴られるだろう。帰蝶はまたあとで起こすことにして門を出た。しばらく行くと街がある。街の片隅にある集いの本部にでも行こうかと彼女が思案している間、飲み屋から幾人かの柄の悪い連中が外に出てきた。
「よーよー姉ちゃん、俺と一緒にあそばないか〜?」
ボキャブラリーの貧困なセリフである。
「悪いけど、あなたたちと一緒に遊んでいるほど暇じゃないの」
帰蝶は連中を睨む。しかし彼らはにやにやと笑いながら帰蝶に手を掛けようとした。そのときである。
「あんたたち何してんのよ!?」
後方から威勢の善い声が聞こえた。ふりかえってみると渡り巫女のようである。肩までさらりと黒い髪を垂らしまっすぐと幼い顔でこちらを睨んでいる。
「っげ、ヒナタ・・・」
「蜂須賀様に言っちゃうわよ!?」
その言葉に彼らはしぶしぶ悪たれをつきながらも去っていった。
「ありがとう、ヒナタさん」
「いいえ、そちらこそ信長様の妻の方でしょう?どうしてここに」
ヒナタはそこまでかしこまった様子もなくにこにこと聞いてきた。
「暇なのよ。なにか面白いものない?」
「え?面白いものですか・・・・・?・・・・・・・・そうだ」
急にヒナタはいたずらを思いついた子供のように帰蝶に耳打ちする形になって言った。
「この向こうの寺で今、五右衛門さんと日吉がふたりっきりでなにかしているようなの。のぞきに行かない?」
どうやら、ヒナタも御同業のようだった。
帰蝶は二つ返事でうなずいた。「さっそく行きましょう!」
「あ、いましたいました!こっちですわ!」
「もうどうやら本番中のようですわね!さっそく見ましょう!」
まちからしばらく行った所にある寺子屋のなか、時々聞こえてくる日吉の喘ぎ声にうら若き同人娘たちは片手に筆、片手にネタ帳を持って興奮しつつも屋根裏に登ると忍者顔負け者の気配の消し方で下の様子を覗き始めた。
下を見てみると、確かに五右衛門と日吉がいた。もう結構進んでいるようで日吉の顔や身体には結構な量の白い液体が飛び散っていた。そして日吉はうつろな目で五右衛門を見つめていた。対する五右衛門も顔は見えないものの結構楽しそうに何かをささやいていた。
「きゃ〜、帰蝶さま帰蝶様帰蝶様ぁぁぁ!!!」
「体中に飛び散る液にほのかに紅潮した頬、何気に手が縛り付けてある所らへんももポイントね!」
小さな声でささやきながら乙女達は必死にネタ帳に書き込んで行のであった。
一方下では
「日吉、いまとってもエロい顔してるぜ」
五右衛門は笑ってささやく。日吉ははずかしげに顔をそらした。「そん・・・なこと、言ったって・・・ああっん」
体中を舐められ嬲られ日吉は涙目になっている。その様子がまたいっそう五右衛門の情欲をそそった。
「もうそろそろいいかな」
言って五右衛門は日吉の腰をつかみ引きずり寄せると自分に対面するように座らせ自身を入れた。
「い・・・あっ・・・、ん」
「すっげえ色っぽいぜ、目、閉じんなよ」
日吉は目に涙を溜めて五右衛門の顔を見る。いままでさんざん広げられてきたので日吉は難なく五右衛門を受け入れた。
「ふっ・・・・うっ・・・」
そして五右衛門は腰を動かす。「やっ、やあっ、んっ、ああっ」
「嫌、じゃねえだろ」
言って五右衛門は日吉の鎖骨から首筋を舌でなぞり最後に口に到達した。
「ふぅっ・・・あっ、んっ」
「そろそろイキたいか?」
日吉は黙ってうなずく。
「じゃあ、懇願してみな。『イカセテクダサイ』ってさぁ」
「うぅっ・・・・」
日吉は必死に頭を振るがそれでも身体の欲求には勝てず小さな声で五右衛門の耳元にささやいた。
「いか・・・せ、て・・・くだ・・・さ・・い」
「よくできました」
言って五右衛門は大きく腰を動かす。そして日吉が大きく喘ぐと果ててしまった。五右衛門もどうやら同時にいってしまったらしく、二人ともぐったりとしていた。
「き〜ちょ〜うさまぁぁぁ!!!!」
「ちょっと聞いた!?聞いた!?懇願してみなですって!きゃーー!もう!」
「それになにより可愛すぎるわ日吉ぃ!」
ここは町外れの同人娘の集会所。ばれては不味いと大急ぎで二人はここまでやってきて茶を啜りながらも語り合い、手が壊れそうなほどにさかさかと動かしてクロッキーをしているのである。
「ああっ!もう、本当に善いものが見れましたわ!」
「これで冬のイベントのネタは決まったもどうぜんですわね!」
「ああ、でもノブ×ヒヨも捨て難い・・・・」
「って、ああっ!やばい!私薪を買わなくちゃいけなかったんだ!」
急にヒナタが立ち上った。それと同時に帰蝶ももう帰らなければならない時間だということを思い出した。
「私もそろそろ帰らなくては!」
それから二人は再び会うことを約束して分かれたのであった。
あとがき
あああああ、やっちまったよ、濃姫同人娘説・・・。 ってかジパングに出てくる女は私の中では同人娘ばっか・・・。ああでも加江さんは違うかも
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