『太陽と石鹸とタバコと絆創膏』



夜。ルパンは帰ってくるなり、目を大きくして驚いた。

「わぁ、さすが五右エ門。一日で、あんなむさっ苦しかった部屋がぴっかぴか。で、次元。頑張った五右エ門ちゃんにご褒美があんだけど・・どこ?」
「ん?そーいえば・・さっきから見てねぇな。和室か?」

 二人して、そっとドアをあけると、たたみおわった洗濯物のとなりで柱にもたれながら五右エ門は眠っていた。

「・・あらら。お疲れみたい。じゃ、次元、五右エ門の目が覚めたら、冷蔵庫にいもようかんがあるって言っておいてくれ。俺、ちょっくら出かけてくるから」
「はぁ!?さっきまで出かけてたじゃねぇーか。」
「むふふふふ。モテる男は忙しいのよ。そんじゃ、頑張ってね〜」
「頑張ってって、おい、ルパン!!」

 ルパンは楽しそうに笑いながら、アジトを後にした。次元は、そんなルパンの背中を見送ると、和室にそぉっと入った。

「・・よく・・寝てやがる」
 いつもなら、人が側によるとすぐ目を覚ます五右エ門だったが、今日は疲れたのか一向に目を開ける気配がない。
「ホント・・こうしてるとただの美人だよなぁ」

 薄い唇から漏れる一定の寝息。次元は、隣に座るとそっと髪を梳いた。
 
「んん・・。じ・・げん・・?」
「起こしちまったか」
「別にかまわんよ。」

 五右エ門は眠そうに目をこすりこすり言うと、ぼぉっとする目で外を見た。その様子が、どこか幼く、どこか美しくて、次元はたまらず五右エ門を自分の胸元に引き寄せる。

「次元・・!!」
「太陽と石鹸の匂いがするな・・」

 肩までかかる髪を撫でながら、次元は優しく笑った。その様子に五右エ門もつられるように笑う。

「御主は・・タバコの匂いがする」
「へーへー、何も働かず、悪ぅゴザイマシタ。どーせ俺は、一日中タバコ吹かしてたよ」
「そんなところだろうな。指に絆創膏・・。さしずめ、寝煙草でもしてて火傷したんだろう?」
「ん、ん?あ、あぁ、まぁな」

 まさか、五右エ門のことを考えててなんぞ口が裂けても言えない。次元はははっと口元を引きつらせると、無理に笑って見せた。

「しかし、お互いこんな匂いしかしなくてよかったな」
「は?何で。お前はいいかもしれないが、俺なんてヤニ臭ぇってことだぜ」






「血と硝煙の匂いがしないということは、一日穏やかでいられたということだろう?」









「違ぇねぇ・・」







決してとれるハズのない匂いだけど、
決して無くなるハズのない匂いだけど、

たまにはいーじゃねぇか。


太陽と石鹸とタバコと絆創膏


こんな穏やかな匂いがしても。






初ジゴエ。
途中でルパンが言ってるいもようかんは、
ウチの妹が修学旅行言ってかって来たいもようかんがうまかったから
何となく出してみた。でも・・五右エ門って甘い物平気なんだろーか?(汗)
そりゃ、和菓子だけどさ・・。ま、いっか。
ここまでお付き合いくださった皆様に感謝。でわ。

・・絆創膏の匂いって、さっさと言っちゃえば薬品臭いってことだよな・・



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