親愛なる加持さん。
加持さんがいなくなってからもう一月が経とうとしています。
アタシがそのことを知ったのはシンジの言葉から…。
「いい加減な事言わないでよ! バカシンジのくせに!!」
「本当なんだよ! 加持さんはもう!!」
「うるさい! うるさい! うるさい!!」
アタシには信じられなかった。ううん、信じたくなかった。
だけど、現実は否応なくそれが本当だったと思い知らされる。
ネルフから抹消される加持さんのデータ。引き払われたマンション。
現実は日を追うごとにアタシを追い詰める。
アタシは泣いた。誰もいないところで、一人きりで泣いた。
「ミサトもいや、シンジもいや、ファーストはもっといや!」
そんな中でアタシが心を許せるのは加持さんだけだった。
その加持さんがもういない・・・。アタシのプライドだったエヴァも動かない・・・。
アタシはどうしたら良いかわからなかった。
茫然自失の毎日。
―アタシなんか誰も要らないのよ・・・誰も・・・誰も・・・―
いっそアタシも加持さんの所へ逝こうかと考えた。
だけど、そんな時シンジに連れられていった場所があった。
加持さんが育てていたというスイカ畑・・・。
どうしてシンジがそんなところへアタシを連れて行ったのか、初めはわからなかった。
加持さんを思い出して辛いだけなのにどうして!?
そう思った。
だけど、そのスイカ畑を見ていたら加持さんのメッセージが聞こえた気がしたの。
「物を育てる…それは生きる為に必要な事なんだよ」
そう思った時、アタシははじめて人前で泣いた。大声で泣いた。
今、ここでアタシが加持さんの元へ行く事、それは加持さんのメッセージと
反対の事をするんだっていう事に気がついた。
加持さん、アタシは生まれ変わっても加持さんのそばにいたい。
たとえ恋人じゃなくても、同性だったとしても、どんな生き物だったとしても
アタシは加持さんと一緒にいたい。
そして、その時に今のアタシを加持さんに誇れるように毎日を
生きていきたい。だから…だから…。
加持さん、安心してね。アタシは大丈夫!!!
―From Asuka.