「アタシ達、少し距離をおきましょう」
突然彼女の口から出た言葉の意味がボクは上手く飲みこめなかった。
「え……? アスカ、それってどう言う意味……?」
「どう言う意味って、そう言う意味よ」
冷たく彼女は言い放った。
「なんでだよ!? ボクに何か悪いところがあったの!? それなら直すからお願いだよアスカ!!」
「……」
彼女は何も言わなかった。
ボーゼンとしたままボクは考えた。
「今朝だっていつものように一緒に朝食を摂って、一緒に学校へ行ったじゃないか」
その時だってアスカは少しも変わったところはなかった。
「お昼だってボクの作ったお弁当を食べてくれたじゃないか……」
ひざの上で握り締めた手に涙がポツリと落ちた。
「ねぇ、アスカ、お願いだよ、どうしてボク達が距離を置かなきゃいけないんだよ、答えてよ!!」
彼女に向けてボクは訴えた。
「うるさいわね。アンタ、遊びのつもりなの?」
ボクの目に映る彼女は冷たい目線を向けていた。
「あ、遊びって……そんなわけないじゃないか!!」
「……」
彼女は何も答えない。
「どうして答えてくれないんだよ!! アスカこそ遊びのつもりなんじゃないか!?」
ボクのその言葉に彼女の蹴りが飛んできた
「シンジくん!? シンジくん! しっかりして!! 返事をして!!」
ミサトさんが心配そうにボクに声をかける。
「あ、大丈夫です……」
ボクはゆっくりと立ちあがった。少しアスカに蹴られた痛みが残っていた。
「ひどいじゃないか!! いきなり蹴飛ばすなんて! 初号機が壊れたらどうするんだよ!!」
ボクはモニターをアスカの弐号機に合わせて言った。
「だから距離を置けって言ったんでしょ!? 近すぎるのよアンタ!!」
「だからって蹴ることないじゃないか!! ひどいよ!」
「うるさいわね!! 遊びじゃないのよ!? 使徒が攻めてきた時こんなに近距離じゃ動きにくいのよ!!」
「碇君は私が守るわ……」
「ちょっと優等生! アンタまで寄ってこないでよ!! あ〜ん、ミサトぉ! こいつら何とかしてよぉ!!」
「……まったく、ブザマね……」
「あいつら……後で説教だわね……」
対使徒作戦訓練でのヒトコマでした……