阿から始めよう! 第壱頁 「阿吽あれこれ」
狛犬は神社に入って正面から見て右にいる口を開けた狛犬を「阿(あ)」、対して左にいる口を閉じた狛犬の方を「吽(うん)」と呼びます。
よく、阿吽は、万物の初めと終わりを意味していると言われています。
何で阿吽が初めと終わりを表すか・・・・・・?
それは、生き物は口を開けながら生まれ口を閉じた状態で死ぬからとも、「あいうえおかきくけこ・・・」などの日本語が「あ」と口を開けるものからはじまり「ん」と言う口を閉じたもので終わるから・・・とも言われています。
今回はまず、狛犬を見る上で欠かすことの出来ない、「阿吽」について説明したいと思います。
阿・・・神社を正面から見た時右にいる、口を開けた狛犬。
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資料A |
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資料B |
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資料C |
(目黒区目黒不動尊) |
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(新宿区花園神社) |
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(新宿区穴八幡神社) |
特徴:
●正式には無性だが、メスとして扱っているものが多い。
●正式には、獅子。(狛犬として扱っている物も多い)
●正式には耳が垂れている。(資料A参照)
●子供を連れているものが多い。(資料B参照)
●年代によっては、頭の上に擬宝珠(ぎぼし)を乗っけているものもある。(資料C参照)
吽・・・神社を正面から見た時左にいる、口を閉じた狛犬
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資料D |
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資料E |
(目黒区目黒不動尊) |
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(新宿区花園神社) |
特徴:
●正式には無性だが、オスとして扱っているものが多い。
●正式には、角が生えている。(資料D参照)
●正式には、耳が立っている。(資料D参照)
●玉、もしくは鞠(まり)を持っているものが多い。(資料E参照)
こんな感じでしょうか。
「阿のたてがみが巻き毛で、吽のたてがみは直毛」・・・等と、他にも細かい見分け方はあるようです。
ここで、「阿」は正式には獅子だという事に、驚いた方もいるかも知れません。
実は今でこそ狛犬と呼ばれていますが、奈良時代までは、左右共に「阿」の、獅子と獅子の組み合わせのものを神社やお寺で置いていたそうなのです。
それが、「向かって右に阿の獅子、向かって左に吽の狛犬」の組み合わせになったのが平安時代の初め。徒然草二百三十六段に、『神社におかしな向き方をした獅子と狛犬がいる』という話があるのも、その為です。
それがだんだんと進み、多くの人が「阿吽両方をあわせて、狛犬と呼ぶ」様な時代になっていって、現在に至ったのです。
しかし、ここであげた特徴はあくまでも一般的な物ですので、例外も多々見かけられます。
角の無い吽はたくさんあるし、両方とも「阿」のものもあれば、阿吽共に耳の垂れているものや、阿吽ともに耳の立ったもの、阿吽ともオスのものだってあります。
最近のものには阿に鞠を持たせ、吽のまわりに子供を連れているものも多いです。
狛犬の歴史は昨日今日のものではありません。時代と共に変わって行くものですから、例外もあると言うことです。
ここで取り上げた事にとらわれずに、狛犬を堪能していただけたら幸いです。
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