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83. 声を大にして言いたい日本語

2018.01.18

日本語対応手話の利用と、自動翻訳(Google翻訳など)の利用は、同じである。起点言語(翻訳元)の構文を、目標言語(翻訳先)の構文に近づけると、正確な通訳・翻訳の結果になりやすい。

例えば、こんな状況。住民票が必要だ。役所へ行く。申請書を書く必要があるという。職員が記入台を指差して言う。

「あちらでご記入いただく形になります」

それを通訳者が日本語対応手話に訳す。

/あそこ/書く/もらう/形/なる//

意味が分からない。あそこで書いて、その紙をもらったら、紙が別の形に変化するのか? 折り紙的な??

そうして、日本語対応手話は分からない、ダメだ、という言説ができあがる。

しかし、役所の職員が、最初から日本語でこう言っていたらどうだろう?

「あちらでご記入ください」

通訳者が日本語対応手話に訳す。

/あそこ/書く/頼む//

やっと意味が分かった! そういうことなのだ。最初からシンプルな日本語で言えばいい。

変な敬語(敬語なのか?)で日本語をこねくり回すから、日本語対応手話に訳しても変な手話になる。対応手話とか日本手話とか、ろう文化を理解してないとか以前に、シンプルな日本語が使えていない。丁寧に言おうとして、複雑怪奇な日本語になる。それだけなのだ。シンプルな日本語で言えば、文法の難しいゴチャゴチャ抜きに、手話単語の羅列だけでも要点は伝えられる。

ちなみに、Google翻訳も似たような結果になる。

あちらでご記入いただく形になります。 → It will be in the form to fill it over there.

意味不明。Google先生も「形に成る(be in the form)」と訳してしまう。何だそりゃ。

あちらでご記入ください。 → Please write over there.

これなら意味が分かる。

つまり、Google翻訳で良い英訳を得るのと、手話通訳で良い手話訳を得る(通じやすい対応手話を使う)のは、どちらも同じような努力が必要だ。何の気なしに書いた(話した)日本語を訳して察してくれといっても、そううまくはいかない。意識的に、訳しやすい日本語を書く(話す)必要があるのだ。

この努力は、翻訳・通訳の問題に限らない。例えば2020年のオリンピック・パラリンピックにも有用だ。外国人が日本にたくさんやってくる。必要なのは、英語力だけではない。外国人にも分かりやすい日本語、シンプルな日本語を使いこなせることも必要だ。

そういう母語話者による外国人向けの話し方をフォリナートークという。フォリナー(foreigner)は「外国人」の意味だ。しかし外国人のみならず、ろう者にも分かりやすい話し方といえる。手話通訳をしてもらうにしろ、自分で日本語対応手話で話すにしろ、筆談するにしろ、ろう者に口を読み取ってもらうにしろ、だ。

シンプルな日本語を使いこなせれば、英語力がなくても、Google翻訳で上手に英訳してもらえる。シンプルな日本語(対応手話)を使いこなせれば、日本手話ができなくても、ろう者に察してもらえる。

日本人聴者はまず、シンプルな日本語の使い手になろう。


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