ねぇ、大好きだよ。
 だから、僕はあなたが言った事を忘れない。

 

 




「兄さん―――イチロー兄さん待ってよ!」
「…うるせぇなぁ、散歩するだけなんだから付いてくんなよ!」

 イチロー・キカイダー01は苛立たしげに振り返りながら叫んだ。
 その台詞に、ジロー・キカイダーは悲しげな瞳を見せる。

「だって…」
「だってじゃねぇ!だいたい零もいるんだから連中が来たって大丈夫だろうが」
「そうじゃないよ」
「じゃ、なんだよ」
「……イチロー兄さんがこのまま帰ってこないような気がして…」

 ジローの言葉にイチローは絶句した。

「…なんだか胸騒ぎがするんだ……ロボットの僕が言うのも変かもしれないけど…」
「へ!この俺が変な海洋生物もどきにやられるってのかよ?」
「そうじゃないけど……」

 イチローはジローに近付き、その瞳を覗き込んだ。
 イチロー特有の真っ直ぐな瞳の輝き。
 ジローは思わずその輝きに見とれた。

「兄さん…」
「これだけは言っとくぞ」
「?」
「俺は勝つ!絶対な!」
「う…うん…」

 イチローの勢いにつられ、ジローは頷く。

「だがな―――」
「え?」

 真剣な、どこまでも真っ直ぐな、強い意志の光が煌めく瞳。

「もし…もし俺が―――俺が俺でなくなったら、あの海洋生物もどきと同じになっちまったら。良いか?お前の手で俺を破壊しろ」
「なっ…?!」
「俺だけじゃねぇ。零もだ。あいつも良心回路入ってねぇんだろ?」
「…うん」
「もし俺達が俺達じゃなくなったら、お前が破壊しろ。躊躇うな」
「でも…」
「考えても見ろよ。姿は同じでも俺じゃないんだぜ?他のシャドウのロボットと同じようにすればいいだけだ。簡単だろ」

 イチローは鼻で笑った。

「兄さん…」
「俺は嫌なんだ」
「……」
「あんな奴等の言いなりになるなんか…それに―――せっかく出来た弟を殺したくないしな」
「……兄さん…」
「だからよ、お前の手で俺達を助けてくれよ。良いだろ?」

 ―――助ける―――

「…うん…解った…」
「ま、そんな事になるわけねぇけどな」
「うん」



 


 ねぇ、兄さん。
 兄さんの言うとおりにしたよ?
 これで良いんだよね?
 兄さんが望むから、僕は兄さんを殺したよ。
 兄さんが好きだから……だから、僕は兄さんが言った事を何一つ忘れない。

 

 


 フロッピーの整理をしていたら、だいぶ前に書いた小説(?)が出てきました。121同盟に入っているのに、キカイダー関係何も置いてないので、ちょっと置いてみる事にしました。1×2なのか2×1なのか、微妙なので、あえて1+2表記。『THE ANIMATION』の最終巻後(と、三巻後)なんですが、まだ最終巻恐くて見れてません。兄さんFANなんで、どうしても尻込みしてしまいます。

 

 

 

 

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