なぜ、この人はいつもこうなのだろう・・・
はスヤスヤと気持ち良さそうに眠るカカシの顔を呆れた顔で覗き込む。
今日もいつものようにカカシを起こしに部屋へと入り今さっきまで「起きろ」と怒鳴りつけていたのだがあまりにも起きないので諦めてカカシの眠るベットに両肘ついてカカシを眺めて見る事にしたのだった。
「これだけ顔近いのに・・・私ったら何も思わないのね。」
独り言を呟いて溜息を吐く。
普通ならこの場合『異性とここまで顔を近づけて』といった意味で言うのだが、にとっては違う意味。『何故、この男になら近づいても平気なのだろう?』の意味を紡ぎだすのだ。
 は幼い頃から虐待を受けてきている所為で、大人に拒否反応を起こす。
それは、男女問わず。
虐待を与えてきたその人に似る似ないも関係なく。なのだ。
しかし、今目前で寝ているカカシは、自分を助けてくれたからだろうか。全く『嫌だ』とは思わないのだ。
「寧ろ・・・」
(傍に居たいかも・・・)
流石に寝ているとは言っても聞こえていたらマズイと、その言葉は飲み込んだ。
(はぁ〜。結構丹精な顔立ちなのね。)
改めてみるカカシの顔はとても綺麗に見えた。
「普通の男だったらモテてたんだろうに・・・」
褒める言葉は自然と内で思い、悪態は普通に口に出る。
昔からそうゆう性格なのだ。
素直になれないと言うか何と言うか。だが、カカシはそんなも気に入っていた。
逃げられると追いたくなる。
まさに、人間心理に絶え間なく従っている。つまり、欲求をそのまま表に出してくる理性の少ない男と言った所だろうか。
「普通でなくても・・・モテてるって・・・v」
寝言!?とも思ったが、違うらしい。
いつもながらの眠たげな表情から一変してニコッとした笑顔を見せたカカシは目の前にあったの腕を掴みそのままスッポリと自分の布団の中へと誘い込んだ。
「ちょ、ちょっと待て!!カカシ!!!」
そうは言うが男の力はやはり強い。
抵抗空しく、カカシの抱き枕状態にされてしまった。
「はぁ〜vって気持ちイイねぇ〜v」
ギュ〜っと強く抱きしめながら頬を真っ赤に染めているの顔を見る。
「気持ちいいとか・・・っ・・・変態!!」
力で抵抗できないのならと、口で攻撃。
「いいよ、変態でもVv」
しかし、難なくかわされてしまい、は怒りと恥じらいが交じり、自分でも良く分からない感覚が押し寄せる。
「っていうか、離してよ!」
「イ・ヤv」
「嫌なのはこっち!!」
キッと睨むに「嘘つき」とボソッと余裕の笑みを浮かべて言うカカシにとうとう恥じらいよりも怒りが勝ち、おもいっきり鳩尾を喰らわせた。
「あのねぇ〜・・・・・・痛いんだけど?」
殴られた場所をさすりながらやっとこさカカシから離れてベットから降りたの背中に語りかけるカカシ。
「良かったじゃない、目。冷めたでしょ?」
はそう言うと制服にシワが寄ったと嘆く。
(なんだろう・・・寂しい・・・とか・・・)
カカシの布団の中か、もしくはカカシ自身が温かかったのか・・・
突然先程までの温もりを与えられなくなったはそんな気持ちを抱いていた。

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は朝食の用意を済ませると窓から顔をのぞかせカカシを呼ぶ。
「ハイハイ。今行くから・・・」
カカシの返事を聞き、は自分の席へと着くとカカシが身支度を終え、朝食を食べに来るのを待つ。
3分と経たぬ内にカカシは2回のノックと共にの部屋へ上がると2人揃って「イタダキマス」。
これが、とカカシの日課だった。
カカシが出張で居ないとか、が修学旅行で居ないとか、そうゆう時以外は欠かした事が無いのではないだろうか。
「あれ?今日ってさぁ、身体測定+内科検診の日じゃなかったっけ?」
「・・・・そうだよ?」
「行かないんじゃないの・・・?学校。」
去年もそうだった。
少しでも袖をめくると青痣やら火傷の跡やらの傷が見える。
だから、行きたくない。と言い、その日は別の病院。
つまり、その事を知っているカカシの知り合いの先生に診てもらいに行くのだった。
「行かないよ。今回もカカシの教えてくれた所行くし・・・」
「あ。ゴメン。今日アイツ居ないや・・・・」
「・・・・は?」
突然発せられたその発言にあっけにとられる
アイツとは、カカシが紹介してくれた医者だ。
「ど〜してくれるのよぉ〜嫌よ。私・・・あの先生だってカカシが紹介したから・・・」
段々落ち込んでいく表情は見ていて痛々しい。
「違う人でいいなら紹介するけど?」
困った表情で言うカカシには俯いたまま。
「ねぇ、前から訊きたかったんだけど・・・・なんでそんなに医者に知り合いが居るのよ・・・?」
「・・・・え?」
「「・・・・・・・・」」
黙り込むカカシにもそれ以上は訊けない。
カカシの事、特に過去の事を訊いてもカカシは答える気配が無い。
そう。カカシの過去の思い出などひとつも聞いた事が無いのだ。
だから、要所要所のちょっとしたモノを聞き逃さず溜め込む状態。
しかし、繋がってはいかない。
「いい・・・で?その知り合いの先生って?」
「あー。うん。俺が連絡しとくから勝手に行ってくれればいいよ。
えーっと・・・場所は書いて渡したほうがいい?」
コクっとひとつ頷くと、ジトリと目を向ける。
(本当に言う気無いのね・・・)と訴えかけるかのように・・・

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はカカシから預かった手紙と場所と行き方が書かれた紙を持ち、紹介された病院の前で溜息をついた。
(大きい・・・なんで・・・こんな大きな病院なの?なんだか恥ずかしいじゃない。)
そう思いながらは受付を済ませて名前が呼ばれるのを待っていた。
しばらくすると独りの女医がの前に来た。
「えっと、ちゃん。かな?」
ニコッと優しい笑みを向けられ、も応えるように微笑む。
流れるような綺麗な黒髪をひとつに束ね、温和そうな彼女はからカカシの書いた手紙を読むと何かを考える素振りを見せ、を小さな個室へと通した。
「愛されてるわねぇ。ちゃん。」
「はい・・・?」
唐突な言葉の意図が取れず聞き返す。
すると、彼女はクスクスと楽しそうに笑うとピラピラと、カカシの手紙をちらつかせる。
「もぅ、愛してます〜って書き殴られてるような内容よ?」
「え!?」
頬を真っ赤に染めては拳を握る。
(絶対許さない!!)
そんなを微笑ましそうに見る彼女は
「ホント、自分の置かれてる状況無視して生活楽しんでるんだから・・・勝手よね。」
と同意を求めるかのように笑う。
この人はカカシの過去を知っている。
しかも、今の状況というのが悪い事が分かり、は『知らない』事を隠すように問う。
「あの・・・カカシ・・・さんって昔から勝手なんですか?」
「ん〜。勝手と言うよりマイペースなのかなぁ。
彼、昔はすっごいマジメさんだったのよ?統率力もあったし・・・
だけど、あれ以来はそんな事微塵も感じさせないわね。
まぁ、基本的な所は変わってないみたいだけど?」
(この人は訊けば色々な事を答えてくれるかもしれない)
はそう確信し、少し悪いかな。と思いつつも質問を続けると、どうも納得いかない事がチラホラ出てくるのだ。
まず一番に納得できないのはそんなに隠したいと思うような過去でない様に思うこと。
それでも知っていることだと思って話してくるので確信には触れられない。
「まぁ、私はあの時の事良く分からないけどハヤテ君なら全部知ってるわね」
何度も繰り返される『あの時の事』という言葉。
聞かなければ良かったかも・・・と軽く後悔した。

診断書を受け取り、はそのまま学校へと向かった。
別に今日渡しに行かなければいけないわけではなかったがなんとなく、足がそちらへ向いたのだ。
 静かな廊下を通り、保健室をそっと開ける。
そこにカカシは居なかったがはお構いナシにカカシの机に並べられている本をペラペラと捲る。
「・・・・・って・・・・なんでこの本があるかなぁ〜・・・」
机に両手ついてガクリと肩を落とす
見つけた本はカカシの愛読書。タイトルからして如何わしい本だった。
「も・・・人質疑っちゃう・・・」
そう言いながらも一応ペラペラと捲る。
愛読書にこそ大切なモノを挟んで置いておくかも・・・と思ったのだ。
しかし、誰にも見られていないし、中身を見ているわけではないのだが人の目が気になる。
「ん〜。やっぱそんな核心に触れるものは挟んでないか・・・」
パタンと本をしまい元に戻すと同時に
「な〜にしてるの?」
と後ろから呆れた声音がした。
声の主は言わずともカカシである。
は慌てて後ろを振り向くと少し怒っている様にも見えるカカシが沢山の資料を抱えて立っていた。
「し、診断書・・・」
「別に今日じゃなくてもいいでしょ?」
「だって・・・気になって・・・」
「・・・何が?」
「・・・・っ。」
『カカシの過去が』とも『言われた事の真意を』とも言えず押し黙ってしまったにカカシは笑顔を見せる。
「ま、イイケドね?ついでだから手伝ってよ。診断書の整理」
「嫌。帰る。」
は即答すると走って保健室を飛び出た。
その後姿を見送りながらカカシは「何吹き込まれたんだか・・・」と溜息をついていた
























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